EUでは2025年にPPWR(Packaging and Packaging Waste Regulation)が発効し、2030年に向けて包装の再利用性・リサイクル性を大幅に高めることが求められている。
これまで包装規制は主に容器や包装材料を対象としていたが、PPWRはラベルや印刷インキについても大きな影響を及ぼす可能性がある。
Domino Printing Sciences社は、PPWRがインキ開発やデジタル印刷市場に与える影響について考察している。
PPWRの目的
PPWRの主要な目的は以下の3点である。
•包装重量の削減
•包装の再利用(Reuse)
•包装のリサイクル(Recycle)
EUは2030年までにすべての包装を再利用可能またはリサイクル可能にすることを目指している。
インキ使用量削減の要求
循環経済設計ガイドライン(D4ACE)では、「インキ重量を包装全体の5%未満に抑える」ことが推奨されている。将来的にはさらに厳しくなる可能性がある。
これにより、
•大面積ベタ印刷
•厚盛ニス
•過剰装飾
の見直しが進むと考えられる。
GS1 Digital LinkとQRコードの重要性
PPWRでは包装上の情報量が増加する。
しかし印刷面積は減少する。その解決策として、GS1 Digital Link対応QRコードの活用が期待されている。
QRコードをスマートフォンで読み取ることで、
•製品情報
•原材料
•リサイクル方法
•回収情報
などをクラウド上から取得できる。
これは印刷面積削減と情報量増加を同時に実現する方法である。
包装再利用(Reuse)とインキ
再利用容器では、耐久性の高い固定情報と、交換可能な可変情報を分離する必要がある。
例:
固定情報
•ブランドロゴ
•容器識別情報
可変情報
•ロット番号
•製造日時
•賞味期限
固定情報は洗浄工程に耐える必要がある。
一方で可変情報は再利用時に容易に除去できることが望ましい。
リサイクル適性と脱墨(De-Inking)
PPWRでは、ラベル 接着剤 印刷インキがリサイクル工程で容易に除去できることが求められる。特に問題視されているのは、
• UVニス
• 顔料インキ
• 大面積印刷
である。
欧州では65~85℃で行われている脱墨工程をさらに低温化する研究が進んでいる。
デジタル印刷への影響
PPWRは高画質印刷の需要を増やす規制ではない。むしろ、可変印刷を促進する規制である。必要になる情報は、
•シリアル番号
•GS1 Digital Link
•QRコード
•ロット番号
•EPC識別子
である。
これらは毎回内容が異なるため、フレキソやグラビア単独では対応が難しい。
その結果、フレキソ+インクジェットのハイブリッド化が加速すると考えられる。
シュリンクラベルへの示唆
PPWRはシュリンクラベル市場にも影響を与える。
容器本体を共通化し、ラベルだけを変更することで、
•SKU追加
•地域限定商品
•季節商品
への対応が容易になる。
さらに容器本体に直接印刷しないため、容器の再利用・リサイクルも容易になる。
EPCISとの関係
今後はQRコードそのものではなく、QRコードの先にあるデータベースが重要になる。
GS1 Digital Link
↓
EPCIS Repository
↓
サプライチェーンイベント
という構造である。
PPWRとEPRは、包装を単なる装飾媒体から、「データ媒体」へ変える可能性がある。
PODi考察
PPWRがもたらす最大の変化は、包装印刷の目的が「見せるための印刷」から「管理するための印刷」へ変わることである。今後重要になるのは、
•GS1 Digital Link
•EPCIS
•シリアル化
•トレーサビリティ
•デジタルデータキャリア
であり、デジタル印刷はその実装手段となる。
特に、
•ラベル印刷
•シュリンクラベル
•段ボール印刷
•物流ラベル
の分野では、PPWRとEPRが今後10年間の最大の市場ドライバーになる可能性が高い。





