ボトルが「印刷メディア」に変わるのを浜松で見た!PODi Technical Review

ローランド D.G.が展開するLSINC Peri Seriesを発表した。「LSINC Peri Discovery Day」をレポートする。

それは、2026年9月1日、ローランド D.G.浜松本社で開催された。
LSINC(エルシンク)は米国アラバマ州ハンツビルに本拠を置くDirect-to-Object(DTO)インクジェットプリンターメーカーである。ローランド D.G.は2026年1月、LSINCとグローバル販売契約を締結し、PeriOne、PeriQ360、Perivallo360mの販売を開始した。
当日はローランド D.G.の会社説明、産業印刷市場に対する戦略、LSINCの紹介、海外事例などにかなりの時間が割かれ、最後にPeriOneの実機デモが行われた。構造はシンプルだ。紙の印刷機のように大きくもなければ、幅も広くない。紙が動く代わりに、ボトルが回転しながら前後するだけの機械である。

これをHelical Printingと呼んでいるが、要は大根の「かつら剥き」の原理と同じである。かつら剥きは、大根を回転させながら包丁を当てる。刃は表面を螺旋状にたどり、一枚の長い皮として剥いていく。皮は平面である。Helical Printingは、いわばその逆である。ボトルを高速回転させながら軸方向へ移動させ、固定されたインクジェットヘッドの下を通過させる。するとヘッドの描画軌跡はボトル表面を螺旋状に走り、最終的には円筒面全体が一枚の画像で覆われる。名人のかつら剥きは、絶妙な左手と右手のバランスで実現する。この機械は、ヘッド、回転軸、速度、角度で同じことを実現している。
プリントヘッドはRICOH。Primer、White、CY、MK、Varnishの5ヘッドで構成され、白だけがインク循環型、CYとMKは一つのヘッドで2色を吐出する。Varnishも1ヘッドで2度打ちしている。
各印刷ステージの間にはPhoseonのLED UVが3基配置されてピニングを行い、最後にもう1基のLED UVでFinal Cureを行う。
つまり基本的には、
(Primer)→White → Pinning → CY → Pinning → MK → Pinning → Varnish → Final Cure
という構成である。Primerは必要なときにのみ使用する。
UVインクジェットそのものには、もはや驚くような新技術はない。ところが説明を聞き、対象物が高速回転しながらヘッドの下を移動していく様子を見ると、LSINCの技術はインクジェットドそのものではなく、その周囲と前後にあることが分かってきた。

円柱を平面にする「かつら剝き」――Helical Printing

Peri Seriesでは、ボトルやカップを高速回転させながら、固定されたプリントヘッドに対して対象物を軸方向へ移動させる。
インクは螺旋状、つまりHelicalに吐出され、対象物の360°全周を連続して印刷していく。重要なのは、対象物とプリントヘッドとの距離である。今回の説明では、その距離を約1mmに保ちながら印刷するという。
紙やフィルムなら、メディアそのものがほぼ平面である。しかしボトルは違う。高速回転させれば偏心や振れが発生する可能性がある。しかも形状も直径も製品ごとに異なる。ここでは「物を正確に回す」こと自体が印刷技術なのである。
Peri Seriesが対応する形状は大きく三つに分けられる。
第一がワインボトルの胴部のような円筒形状。
第二がプラスチックカップのようなテーパー形状。
そして第三が、ボトルの胴から肩、首へと連続する曲面形状である。
PeriOneとPeriQ360は円筒および最大+10°/-2°のテーパーに対応する。一方、最上位のPerivallo360mは±30°まで対応し、LSINCが「Contour Following」と呼ぶ形状追従技術によってボトルの肩から首へ続く曲面にも印刷する。今回デモされたのは最もシンプルなPeriOneだった。
PeriQ360は基本的にはPeriOneを4連化した量産型との説明で、4個を同時処理する。一方、Perivallo360mは印刷対象の形状に合わせてプリントヘッド側が上下し、約1mmの距離を維持しながら曲面を追従する。いってみれば、包丁が大根の曲面に合わせて移動する。

Media 「レシピ」――形をデータにする

LSINCが繰り返し強調していたのがMedia レシピである。
対象となるボトルやカップの形状を数値化し、それぞれのメディアに必要な印刷条件をレシピとして保存する。一度登録した対象物なら、次回生産時にはレシピを呼び出す事で各種設定を再現可能。紙の印刷でいうところの紙毎に異なるプロファイルと同じである。オペレーターがボトルを交換するたびに回転、送り、位置などを試行錯誤していたのでは、生産設備とはいえない。形状を数値化し、Media Geometry→ Media レシピ→ 回転・軸方向移動・印刷位置等の制御、として再現可能にする。印刷画質も重要であるが、こうした段取りと再現性の方が産業機として、より重要なのかもしれない。

レシピだけでは回らない――メディアごとの専用治具

もう一つ重要なのが治具=Fixtureである。Peri Seriesでは対象物の頭と尻を保持し、高速回転させる。そのため容器形状ごとに、頭と尻を抑える専用治具が必要になる。かつら剥きの際の料理人の左手であろう。
顧客が新しい容器を使用する場合には、LSINCが対象物に合わせて治具を設計し、ローランド D.G.から顧客へ提供するという。Discovery Dayの現場では、こうした治具を3Dプリンターで製作していた。
これは周辺的な話ではない。対象物がわずかに偏心すれば約1mmのヘッドギャップが変わる。高速回転中に治具の中で滑れば、360°方向の印刷位置もずれる。
つまり新しい容器をPeri Seriesの「印刷メディア」にするには、デジタル側=Media レシピとフィジカル側=専用治具、の二つが必要なのである。そして両者をモーションコントロールがつなぐ。

透明な空ボトルを印刷する――UV LEDの角度にも特許

LSINCが競合との差別化として強調していたのが、プリントヘッドとUV LEDの位置関係である。UVインクジェットでは、吐出したインクへUVを照射して固定する。円筒物なら、上から印刷して回転してきた印刷面を下からUV照射する構造が容易に思える。しかし透明なガラスやプラスチックでは問題が起きる。
下側から照射したUV光が透明な容器を通過し、反対側にあるプリントヘッドまで到達すれば、ノズル面に残ったUVインクを硬化させる可能性があるからだ。着色された容器、あるいは赤ワインのようにUVを遮る内容物が既に充填されていれば問題になりにくい。しかし空の透明ボトルでは、方式によっては容器内部へ遮光物を入れるなどの対策が必要になる、との説明だった。
LSINCではLED UVを印刷面側から角度を付けて照射する。重要なのは角度そのものではない。空の透明ボトルを、内部へ遮光物を入れるといった余計な工程なしに生産へ投入できることに意味がある。
LSINCはこうしたUV照射技術を特許化している。

White+CY+MK+Varnish――シンプルな4ヘッド

インクジェット部分は合理的にまとめられている。
Whiteは循環型ヘッドを使用する。白インクには比重の大きな二酸化チタン(TiO₂)顔料が使われるため、沈降を防ぐインク循環が必要となる。LSINCが白だけに循環ヘッドを採用しているのは、このためである。一方、カラーは一つのヘッドに2色を持たせ、CYとMKの2ヘッド。Varnishを1ヘッドで2度打ちし、合計4ヘッド。色間にはPhoseonのLED UVを配置してピニングし、最後にFinal Cureを行う。素材によってはPrimerも利用できる。ガラス、プラスチック、金属など、DTOで対象となる素材は多岐にわたる。すべての素材に同じインクが同じ密着性を示すわけではなく、Primerは印刷可能なMedia Envelopeを広げるための手段と考えればよいだろう。

Multi-Layer――印刷から「加飾」へ

Peri Seriesの表現力を広げているのが、LSINCがMulti-Layer Printingと呼ぶ重ね打ちである。CMYK、White、Varnishを一度印刷して終了するだけではない。
同じ位置へ複数回インクを重ねることで膜厚を作り、盛り上げ、疑似テクスチャ、光沢差などを表現できる。一度印刷を終えた対象物を印刷開始位置まで戻し、二度目、三度目の印刷ができる。例えば透明ボトルなら、一度目の印刷で4色を打ち、元の位置に戻って二度目に Whiteと Colorを印刷し多層構造を作れる。こうして白を遮蔽層として挟むことで、表から見える画像と、透明素材の裏側から見える違う画像を作ることもできる。
ここで重要なのが見当精度である。一本目の印刷を終えたボトルは軸方向に移動して印刷開始位置へ戻り、再び高速回転して二層目を印刷する。必要なら、もう一度戻って三層目を印刷する。それでも各層の見当は正確に合うという。
ヘッドの性能ではない。X方向の位置、回転角θ、回転原点、送り速度、インク吐出、そして対象物を保持する治具まで含めたシステム全体の精度である。

最大457mm――Media Envelopeを広げる

LSINCがもう一つ強調していたのが、対応できる対象物の大きさである。
PeriOneは最大直径152mm、最大長457mmまで対応する。PeriQ360は最大径114mm、最大長406mm、Perivallo360mは最大径139mm、最大長406mmである。1本処理のPeriOneが、外形寸法としては最も大きな対象物を扱える。
DTOでは、「どれだけ大きな物に印刷できるか」は単にスペックではなく、それが、そのまま印刷会社が受注できる製品の範囲になるからである。

機械は3D。しかしデータは?

今回の説明で一つ物足りなかったのが、印刷データ作成側への配慮である。
円筒なら平面のPDFを360°巻き付ければよい。継ぎ目もIllustratorなどで処理できる、AIが助けてくれる、という説明だった。単純なテーパーなら展開図を作れば対応できるだろう。恐らくRIPがかつら剥きをしてくれるであろう。
しかしPerivallo360mは違う。ワインボトルの胴から肩、首へ続く曲面に合わせてヘッドそのものを上下させるのである。機械側がそれだけ精密な3次元Geometryを持っているのであれば、デザイン側にも同じ3D情報が必要になる筈だ。
曲面へ文字やロゴを配置したとき、完成したボトルを見て意図した形になるためには、曲面による画像の変形を考慮しなければならない。ところが今回の説明では、3D.G.eometry → Machine Controlは非常に詳しい一方、2D Artwork → 3D Surfaceについてはほとんど触れられなかった。
パッケージ印刷ではCADとArtworkを組み合わせる。Perivallo360mまで進化した以上、LSINCに次に期待したいのは、プリンター単体の進化ではなく、3D CAD、デザイン、プリプレス、RIPまで含めたワークフローではないだろうか。

競合はどこまで来ているのか

LSINC vs. Inkcups vs. Amica、そして中国勢

DTOの360° UVインクジェットは、LSINCだけの市場ではない。今回、ローランド D.G.が比較対象として意識していたのが、米InkcupsのHelixシリーズとAmica SystemsのDualSpin、RotaSpinシリーズである。そして説明の端々から感じたのが、中国メーカーに対する強い警戒感だった。そこで改めて各社を調べてみた。結論から言えば、RICOHなどの産業用プリントヘッドを使い、White、CMYK、Varnishを360°印刷するところまでなら、もはや大きな差別化にはならない。中国メーカーを含め、かなり多くの機械がここまで到達している。差が出るのは、その先である。

項目 LSINC PeriOne LSINC PeriQ360 Inkcups Helix / Double Helix Amica DualSpin Pro Amica RotaSpin BD Pro 中国機の代表例
印刷方式 360° Helical 360° Helical・4軸 360° Helical 360° 360° 360° Rotary/Helical
同時印刷数 1 4 1月2日 最大4ステーション 2 1~2が中心
最大対象物長 457 mm 406 mm 305 mm 330 mm 360mm 約270~300 mmが中心
最大径 152 mm 114 mm 114 mm* 120 mm 130 mm 120~160 mm程度
テーパー +10°/-2° +10°/-2° 最大約7° テーパー対応 -4.5°~11° 5~13°程度の商品あり
曲面全面追従 ― ― 一部High Throw系 ― ― 高落差対応機あり
W+CMYK+V ○ ○ ○ ○ ○ ○
Primer ○ 条件による Option ○ ○ ○の商品あり
Multi-Layer ○ ○ Mirror Print等 ―※ ―※ 盛上げ対応機あり
透明空容器対応 特許UV制御 特許UV制御 Nano Pin Curing Clear対応表記 Clear対応表記 透明対応表記あり
レシピ/設定保存 ○ ○ 高さ・径・治具設定 PCS/RIP PCS/RIP 自動測定・保存をうたう機種もある
Variable Data ○ ○・4本並列 ○ カスタマイズ対応 2本別画像可能 デジタルなので基本可能
RIP ONYX Thrive ONYX Thrive Helix Software ColorPRINT Bottle ColorPRINT Bottle RIIN/RIPrint/Flexi等

*InkcupsはExtended Range Kitで径127mmまで拡張可能。
公称仕様だけを見ると、LSINCの第一の強みはやはりMedia Envelopeである。PeriOneの最大長457mmは、Inkcupsの305mm、Amica DualSpinの330mm、RotaSpin BDの360mmを明確に上回る。DTOでは、この差は単なる数字ではない。印刷会社にとって「機械に入るか、入らないか」は、そのまま受注できる製品の範囲を意味する。

Inkcups――かなり手強い競合

InkcupsのHelixシリーズを見ると、LSINCとかなり似た思想を持っている。CMYK+White+Varnish、360°シームレス印刷、円筒とテーパー、専用治具、Primer、透明容器対応、Multi-Layer的な表現まで揃っている。特に興味深いのが透明容器への対応である。Inkcupsは「Nano Pin Curing(NPC)」を用意しており、透明なガラスやプラスチックを印刷する際、UV BloMKing Agentを容器内部へ入れる必要がないとしている。つまり、「競合機は透明空ボトルには遮光材を入れなければならない」と一般化することはできない。LSINCには特許化した独自のUV LED配置・制御があるが、Inkcupsも別方式で同じ問題を解こうとしている。ここは、透明空ボトルという同じ問題に、LSINCとInkcupsが異なる解答を出していると見るべきだろう。
Inkcupsにはさらに「Mirror Print」がある。Color → White → Colorと重ねることで、透明容器の内側と外側から異なる画像を見せることができる。これは今回LSINCがMulti-Layerとして紹介した表現と非常によく似ている。
専用治具についても、Inkcups自身が顧客の対象物を測定し、治具を設計・製作・テストするサービスを提供している。つまり治具そのものも、LSINCだけの特徴とは言えない。
それでもLSINCが優位なのは、PeriOneの457mmという長尺対応と、PeriQ360による4本並列、さらにPerivallo360mという全面曲面追従まで、一つの製品系列として揃えている点にある。

Amica――生産性では無視できない

Amica Systemsはさらに興味深い。
RotaSpin BD Proでは2本を同時に印刷でき、しかも2本に異なる画像を印刷できると明記している。73mm径、画像229×170mm、600×900dpiの公称値では、CMYKで最大600本/時、W+CMYKでも554本/時としている。W+CMYK+Varnishになると267本/時、Primer+W+CMYK+Vでは218本/時となる。
一方、LSINC PeriQ360は101.6mm高さの画像で最大19.1本/分、すなわち1,146本/時を公称している。
測定条件が違うため単純比較はできないが、PeriQ360が「4本並列」によって生産性を稼ぐ思想は明瞭である。
AmicaもPrimer、White、CMYK、Varnish、Clear Media、専用治具、Bottle RIPを揃えており、基本機能だけを比較すれば非常に強い競合である。
DualSpin Proでは2×2の4ステーションを使い、印刷、硬化、ロード/アンロードを並行化することで最大800本/時という条件も公開している。
つまり、この市場では既に、「一本をどうきれいに印刷するか」だけではなく、「ロード、印刷、UV硬化、アンロードをどう並列化するか」という生産設備としての競争に入っている。

そして中国勢――必ずしも「安いコピー機」ではない

今回、ローランド D.G./LSINCが中国メーカーをかなり意識しているように感じた。調べてみると、その理由は分かる。
例えば中国のNocai/JRISEのCylinder Elfでは、RICOH GEN6ヘッドを5基搭載し、Primer+White+Color+Varnishを同時に出力する機種がある。最大径160mm、長さ280mm、360°印刷、盛り上げ表現まで対応する。
Shanghai Colorjet/Jucolorにも、RICOH GEN6を使い、Primer+White+CMYK+Varnish、360°印刷、最大径145mm、テーパー13°までをうたう機種がある。さらに自動ロボットによるロード/アンロードモデルまで存在する。
つまり、RICOHヘッド+ UV LED+ White+ CMYK+ Varnish+ Primer+ 360°+ 盛り上げ、までなら、中国メーカーでもカタログ上は揃っている。
ここでさらに驚いた。中国DeeprintのDF1は、「Intelligent Bottle Scanning System」によりボトルの寸法と形状を自動検出し、そのパラメータを保存して再利用できるとうたっている。これは、機能の説明だけを読めばLSINCのMedia レシピにかなり近い。したがって、「中国機にはレシピがないからLSINCが優れている」とは書けない。むしろ中国勢の追い上げは、想像以上に速い。

ではLSINCは中国機と何で戦うのか

ここでLSINCの強みをもう一度考える必要がある。
第一は対応サイズである。今回確認した中国機の多くは最大印刷長270~300mm程度である。PeriOneの457mmは一段大きい。
第二は透明空ボトルへの対応を、特許と実績を含めてシステム化していること。「透明素材に印刷できます」というカタログ表記と、空の透明ガラス瓶を連続生産しながらヘッドへの迷光を防ぐことは同じではない。
第三はレシピ、治具、動作制御(Motion Control)を一体として保証すること。
中国機にも形状測定や設定保存機能は出てきている。したがって今後の勝負は「その機能があるか」ではなく、何百回呼び出しても同じ位置に刷れるか。治具を交換して同じ品質を再現できるか。Multi-Layerを二度、三度繰り返して見当が合うか。長期間生産しても同じ品質を維持できるか。という工業設備としての再現性になる。
第四はPeriQ360の4本並列+Variable Dataである。
Discovery Dayでは4本は同じ形状でなければならないが、同時に印刷しながら、それぞれ異なる絵柄を出力できるとの説明だった。これは非常に重要である。 例えば同じ形のワインボトルを4本セットし、Aさん用、Bさん用、Cさん用、Dさん用、と一度に異なる画像を印刷できる。つまりPeriQ360は4本並列だから「大量生産機」なのではない。4本並列のVariable Dataだから、小ロット・多品種を高速化できる機械と考えた方がよい。LSINC自身もPeriQ360について、Variable Dataの高度なキャッシング機能と4本同時印刷を特徴としている。
そして第五がPerivallo360mである。
中国機にも「High Drop」「Irregular Shape」をうたうものはあるが、ボトルの胴から肩、首へと形状を追いながらヘッド自体を動かし、360°全面を印刷する形状追従は、今回調べた量産型競合では依然としてLSINCの特徴が際立っている。

ローランド D.G.が売る意味

そして日本市場では、もう一つ大きな差がある。ローランド D.G.が販売することである。今回は価格に関する説明は一切なかったが、中国製プリンターとの価格差は、おそらく小さくない。その価格差を正当化できるかどうかは、
LSINCが治具を設計する。ローランド D.G.が供給する。
Media レシピを作る。
インクとPrimerを選定する。
透明容器でUV条件を設定する。
故障時には国内サービスを受けられる。
という「印刷できる状態まで持っていく仕組み」に価値を感じてもらえるかにかかっている。産業用途では、プリンターを購入することと、生産できることは同じではない。
中国勢のハードウェアが急速にLSINCへ接近するほど、このアプリケーションエンジニアリングとサービス体制が、ローランド D.G.にとって重要になる。

PODi Perspective

LSINCの差別化のポイントは「UVインクジェット」ではない

今回の実機を最初に見たとき、「シンプルな機械だ」と感じた。その印象自体は間違っていない。RICOHのプリントヘッドもPhoseonのLED UVも、市販されている実績のあるデバイスである。
競合を調べると、中国メーカーですらRICOH GEN6を搭載し、White、CMYK、Varnish、Primerを使い、360°印刷や盛り上げ表現まで行うようになっている。つまりLSINCの競争力はそこにはない。
物の形状を数値化する。レシピとして保存する。専用治具で高速回転させる。約1mmのヘッドギャップを維持する。透明ボトルでもUVをヘッドへ戻さない。一度原点へ戻して二層目、三層目を刷っても見当を合わせる。同じ形状なら4本を並べ、それぞれ違う画像を印刷する。そして360mでは、ついにボトルの形そのものにヘッドを追従させる。
LSINCが作ったのは新しいインクジェット技術ではない。既存のインクジェット技術を、「物体を印刷メディアとして扱う生産システム」に仕立て上げたこと。そこが今回、最も興味深かったところである。

結論

デジタル印刷技術が、新しい分野を開いてくれそうである。従来のラベル関連、パッケージ関連のみならず、グッズ関連の印刷会社にも機会が増えることが期待できる。もちろん商業印刷分野の印刷会社にも参入機会がある。グラビア、フレキソ、スクリーンといったアナログ印刷技術への新規の挑戦は壁が高いが、インクジェットであれば、製版不要のデジタルであれば、比較的容易に参入できる。
ご一緒に、新しいビジネスの波を起こして行きましょう!

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