3年に一度の世界最大の包装のtrade fairであるinterpack 2017が、5月4日~10日までドイツ、デュッセルドルフで開催され、170,500 人が世界168ケ国から訪れた。参加者の74 %は、ドイツ以外からであり、参加者の75 %が購入の決定権を持った人々であった。終了後、多くの受注を得たと報告する企業が多かった。出展企業は、2,865社であり、日本からも多くの企業が出展した。次回は2020年開催の予定である。
1. デジタル化とI oT, industry 4.0, packaging 4.0, printing 4.0
日本の新聞、雑誌でも多く取り上げられている課題であり、産業の「革命」とまでも言われています。多くの企業がコンセプトを掲げ、図式化したりして説明、提案していました。中でも、ドイツの食品加工機と包装機械の団体である「VDMA Association of Food Processing and Packaging Machinery」が特設展示場で、「smart 4i demonstrator」 を実演しindustry 4.0 が実施できることを示しました。このプロジェクトには、VDMA, ITQ, Aalen大学、ULPGC大学、ドレスデン工科大学、Fraunhofer研究所、Honeywell Movilizer, CS1, oneIDentity+GmbH, Watttron GmbH, OCS Checkweighers GmbH, B&R, Wenglor, FIPA GmbH, Unified Automation Knapp GmbH, Klöckner Pentaplast, Microsoftが協力し完成させました。欧州の強みは、目的に対して結集して解決するところといつも思います。Interpack 2017 での実演の概略を次図で示します。
industry 4.0 のコンセプトは、packaging 4.0, printing 4.0 などのように包装業界では、提案され展開され始めました。
同様に、packaging 4.0, printing 4.0 などを掲げ提案していました。
Interview with Michael Przytulla (VDMA) about Smart Future – Practical solutions for industry 4.0 で動画が観られます。
2. デジタル印刷品でレトルトパウチ食品を市販
日本のHPデジタル印刷の関係者の方々は、ご存知のことと思いますが、今回、スイスの企業、O. Kleiner AG Flexible Packagingの出展ブースに「レトルトパウチ」が有りました。HPと協力して開発したと担当者から説明を受けました。「裏刷り」です。
これで、デジタル印刷の用途は、急拡大すると思います。この企業は、1954年設立のfamily-owned stock-company です。HPの印刷機を2台持っているそうです。もちろんデジタル印刷機以外の従来の印刷機は持っています。HPのブースでは、サーマルラミの実演を台湾の機械で行っていました。サーマルラミの加工法にも再度、注目が出てくるでしょう。詳細は、株式会社 日本HPの方にお聞きください。
3. デジタル印刷で透明な缶詰の蓋が可能
缶詰食品では、缶の蓋は、当然金属の蓋材であることが通常の認識ですが、消費者は、購入するときに中身を見たい要望もあり、透明なプラスチックの蓋材が開発され、すでに欧州・米国では、商品化されていました。これは、透明ハイバリアフィルムに裏印刷しCPP をラミし、更に易開封のために取っ手を付けています。ラトビア、フランス、米国の食品メーカーが採用しています。このメリットは、既存の缶詰の生産ラインで製造可能のメリットがあると思います。まさに生産の柔軟性・多様性に提案できる包装材料です。
このたび、上記1.と同じブースでデジタル印刷による透明金属缶の蓋材の提案が有りました。まさにデジタル印刷が得意とするパーソナル化対応にも最適な提案と思います。デジタル印刷による缶詰用の「透明ハイバリア・易開封性」の蓋材です。
蓋材だけの写真もご参照ください。
インターパックは、trade fair ですが、一方、包装関係者には、新規の開発品が見られる場所でも有ります。いつも世界の革新的な包装開発品に驚かされます。変化する消費者のライフスタイルに合わせて、包装も変えていくチャレンジが重要と思いました。
次回も、デジタル印刷の事例を紹介します。
著者紹介
住本技術士事務所 所長 住本充弘(すみもとみつひろ)
技術士(経営工学)、包装管理士((社)日本包装技術協会認定)
日本包装コンサルタント協会会員・理事
技術士包装物流グループ会員・理事
日本包装学会会員