インターパック2017 視察レポート「住本」No.3

印刷効果の提案、2社の動きが気になりました。

1. スイスのコンバーター、Wipf AGのPAPER LOOK

Wipf AG は、2014年で創立100周年を迎えたコンバーターで食品から医薬品まで幅広く包材を手掛ける企業です。SAVE FOOD Initiativeスポンサー企業でも有ります。

Sustainable 対応で、セロファンとPLAのラミ品を展示していましたが、Flexible packaging goes natural. のうたい文句で、レトルトパウチ、PET 12/印刷/ON 15/CPP 75 の仕様の表面に紙の感触がするOPをコートしていました。むろんレトルトOKで、ブロッキングはないとのことです。OP/ PET 12/印刷/ON 15/CPP 75 の仕様になります。写真の右は、紙ライクの感触がしました。まだ、実用化はしていませんが、今回、提案して反響を見るようです。健康志向、利便性、安心・安全などは当然ですが、それにプラスα―として提案しています。表面は、光沢もマット調も可能です。レトルト以外に当然、一般の各種食品用途に使えます。日本の印刷に対する考え方と一歩違った切り口からの提案です。文化の違い、考え方の違いを感じました。


2. スイスのコンバーター、Schmid Rhyner AGのSoft-Touch Canvasoatings 触感インキ

印刷物の上に各種の触感を与える印刷を提案しています。例えば、紙に桃の印刷をして、その上にある種のインキをコートすると触って桃の表面の感じがします。日本でも、同じような効果を狙ったものは有りますが、ザラザラ感とか多くの事例の印刷見本を準備していました。その他、食品コンタクトOKのUVニスも開発しており、その反応メカニズムの説明を受けました。グッドアイデアで、スイス条例のインキのテストにも合格しているそうです。少し技術的な説明になりますが、主剤の両サイドに光増感剤の機能を結合しています。下の図表では、少し見にくいかも知れませんが、c) EPPI がそうです。2液混合ではなく、最初から結合させています。抽出テストでも限界値以下だそうです。化学反応の残留物も頭の使い方で問題が解決すると思いました。素晴らしい発想と技術力と思います。自社で開発したそうです。


軟包装材料による立体容器への挑戦。今までのinterpackでは、①Cyclero, ②VolpakのBrickPouchと③BoschのSurePouchが有りましたが、今回は、モナコの企業が挑戦していました。③は、現在中止になりました。Sustainable Packagingの中で軽量化、Less Materialは世界の動きです。同じころにバッグインボックスの段ボールを外した業務用の軟包材、④smart bottleが米国の発明家から提案され、現在は、Dow ChemicalのPacXpert™になって世界で販促されています。軟包装への移行は当分続くでしょう。


写真1 ①Cyclero

写真2 ②VOLPAKのBricpouch, ③BoschのSurePouch

写真3 ④Smart Bottle, 現在はDow のPacXpert™

モナコの企業、Semco社のSempack

 BOSSAR PACKAGING S.A.のブースで、見つけました。この企業は、スパウト充填機などで著名な企業です。そのブースの一角にSemco社のSempackが有りました。開発者と思しき方がいましたので、説明を聞きました。まだ、具体的な実績はないようですが、あらゆる立体容器をこれに置き換えるべく提案しています。容器の底が落とし蓋になっており、内容物を充填後、ヒートシールするようです。このシールはやや難しいところですが、クリアしているようです。やや改良の点があると思いますが、無菌充填との組み合わせを提案すると話にのってきました。この企業は無菌充填システムを持っていませんが、組み合わせての展開も考えられます。また、日本の醤油ボトルのように酸素流入防止と組み合わせると面白い展開が可能と思いました。具体的な顧客を見つけたら、コンタクトすると言いましたら、喜んでいました。早速、メールが来ましたが。今回、多くのブースで、開発者あるいはその道の研究者自身が説明されている場合が多かったようですが、良い傾向と思いました。17万500人の意見がもらえるチャンスは、めったに有りません。開発や研究の軌道修正や励になると思いました。


類似の形態は日本にもあり

類似の形態は、日本でも日本山村硝子㈱が提案しています。同じ業界にいると遠く離れて交流がない場合でも、時代背景から開発の発想は似るものですね。
パッケージは、用途開拓、つまり顧客とのcollaboration が実用化の一番の近道と思います。


紙メーカーのMondi AG も紙を使用した立体容器のモデルを展示していましたが、まだ、アイデア提案の段階でした。

著者紹介
Sumimoto Mitsuhiro
住本技術士事務所  
所長 
住本充弘(すみもとみつひろ)
技術士(経営工学)、包装管理士((社)日本包装技術協会認定)
日本包装コンサルタント協会会員・理事
技術士包装物流グループ会員・理事
日本包装学会会員

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