
シュリンクラベルの起源は、プラスチックフィルム技術の進展と共にあった。
1960年代に加熱により均一に収縮する「熱収縮フィルム」が誕生し、ポリ塩化ビニル(PVC)が工業材料として普及する。当初の用途は 包装・ラッピング(玩具セット、ギフト、食品束包装など)であり、まだ“ラベル用途”ではなく、「物をまとめる包装材」が中心であった。印刷はされていない。
1970年代後半にPVCスリーブが “ラベル用途” として使われはじめる。当時は、ガラス容器のPETボトル化でボトル形状が多様化し、平面ラベルでは曲面にフィットせず剥離・歪みが発生すること、さらにはデザイン面積が小さく、訴求力が弱いこと、が課題とされた。
これを解決するために、円筒状に成形したPVCフィルムを容器の上にかぶせて熱収縮させる=“スリーブラベル”というアイデアが生まれた。
1990年代に入ると、環境負荷・物性向上の必要から、PVCに代わり **PET(ペットジー)・OPS** が登場する。新素材のメリットは;
* 透明性が高い(デザインの高品位化)
* 収縮率のコントロールが容易
* PVCより強度が高く、環境負荷も低い
* ボトルリサイクル工程と相性が良い
ということで、大手飲料メーカーが採用する。折からPETボトル飲料市場が爆発的に成長しその競争が激化する中で「ラベルによる差別化」が不可欠とされる。そしてコーラ、スポーツ飲料、お茶類など多数の商品で採用拡大する。
2000年代に入ると、スリーブアプリケータ(スリーブ装着機)とシュリンクトンネルが劇的に進化した。
* スリーブ装着速度:毎分200〜1000本以上、と目にも留まらぬ超高速
* 複雑形状ボトルに対応する多ゾーン加熱
* OPS・PETの薄肉化(エコ化)
* ラミネート技術の進化により耐久性向上
パッケージのデザインは、“棚で立つ”ことを求めて急進化する。
* グラデーション、金属調、メタリック、特殊インキ
* 透明部分と不透明部分を使い分けた視覚効果
* ボトル形状とデザインを一体化したアート的表現
こうして、シュリンクラベルは完全に グローバル標準として定着した。
筆者は某大手飲料メーカーのシュリンク工場の動画を拝見した。早い。目にも留まらぬ。再生速度を落とさないと、何が何やらサッパリ判らぬシロモノであった。当然ながら、一つの商品を大量に生産する。単位時間での生産量がコスト、従ってスピードが命、の世界である。
しかしマーケティングのデジタル化、顧客属性による商品の多様化、それらによるSKUの激増は、シュリンクの世界にも押し寄せる。例え量産大手と言えど、無視は出来ない。
そして、ようやく我らがPrint On Demandの出番が巡ってきた。小ロット・短納期・限定商品・パーソナライズの時代がやってきたのだ。
まず口火をきったのは、コカ・コーラの名前入りボトル(Share a Coke)であろう。2000年代後半〜2010年代から、Hewlett Packardらしいかなり強引なやり方ながら、ブランドオーナー主導で、デジタル印刷技術がシュリンク素材へ適用され始める。
この動きが潮流となり
* 地域限定・季節限定・コラボ商品の量産が容易
* 可変データ(一本一本デザインを変える)も可能
* 大手ブランドによるマーケティングキャンペーンに最適
として認知されるようになった。例としては、キリンビバレッジの午後の紅茶ディズニーデザインシリーズ等があげられる。こうしてシュリンクラベルは、マーケティングと連動するメディアへと進化した。もちろん多品種小ロットでも採算が合うのが前提である。
デジタル印刷にもまだまだ課題が多い。乾燥に熱を加える方式では、印刷時にシュリンクしてしまい役に立たない。特に主力のインクジェットが利用困難と思われる。株式会社シンクラボラトリーのインクジェット機FXIJシリーズがシュリンク対応を謳っている以外には、ないのではないか? https://www.think-lab.com/products/dt02/
しかしデジタル印刷の場合、すべてのマーケットで課題なのは後加工である。小ロットで印刷しても、バリアブル印刷しても、後加工が対応できなければ何の意味もなさない。
ここで新しい流れがシュリンカーにも起こり、ライン全体のスマート化が進んでいる。シュリンク装置にも大きな変化が起きているのだ。
* 熱風式の高度化
* 前工程自動化
* AIによる温度制御・品質検査
* デジタル印刷とのインライン連携(JIT=Just In Time 生産)
これにより、ブランドは「必要な量を、必要な時に、必要なデザインで」シュリンクラベルを使った商品を用意できるようになりつつある。
ここで今一度シュリンクラベルの効用を整理し、デジタル印刷のパートナーとなれる、日本テクノロジーソリューション株式会社の小ロットシュリンクシステムを紹介したい。
https://solution.co.jp/
1. シュリンクラベルは、ブランドの “第三の広告媒体” へ
製品のパッケージは、かつて「保護」と「識別」を目的としていた。しかし現在、店頭・EC・日常生活のあらゆる場面で、製品そのものが ブランド体験の中心 になりつつある。
その潮流の中で急伸しているのが シュリンクラベル である。360°全周デザインによる自由度の高さは、従来の紙ラベルや直接印刷とは比較にならない。立体形状の容器を“広告媒体”へと変貌させ、世界観・企画意図・差別化ポイントを瞬時に伝える力 を持つ。
食品・飲料・家庭用品・化粧品など、多品種市場でその価値は年々高まっている。
さらに特筆すべきは、小ロット対応力 と 市場投入スピード。
ブランドオーナーは、季節品・コラボ商品・エリア限定商品を、リスクの少ないミニマムロットでテストできる。EC 主体の新興ブランドにとっては、過剰在庫を抱えずにブランド価値を高める手段として相性がよい。加えて、容器本体に印刷しないため リサイクル適性が高い。シュリンクを外すだけで、PET やアルミ容器を“無地の素材”として回収できる点は、環境基準が強まる欧米・日本市場における大きなアドバンテージだ。
2. デジタル印刷と相性が良い“新しい前工程”… SPIRAL の登場
多品種小ロット化が進むほど、シュリンクラベルの前工程(ロール印刷 → カット → スリーブ成形 → 投入)は、メーカー・印刷会社にとって負担になってきた。ここで注目されているのが、日本テクノロジーソリューションの SPIRAL(スパイラル) である。
■ SPIRAL の処理フロー
SPIRAL は、デジタル印刷で面付けされたロールフィルムを、スリットして一旦筒状に両端接合してロール状に成形し、それを巻き取ったロールをそのまま処理し、
1. 断裁(カット)
2. 円筒状に膨らませる
3. ボトル上からの自動投入(ドロップダウン方式)
という一連の工程を自動化する。
従来、ここには “職人技” と “段取り替えロス” が入り込む余地があり、POD(Print on Demand)型の小ロットビジネスにおいてボトルネックになっていたが、SPIRAL の導入により 高精度化・安定化・省力化 が一気に進む。
◆ SPIRAL がもたらす主な価値
• デジタル印刷との高い親和性
• スピーディな段取り替え
• 小ロット向けの前工程コストを最小化
• 印刷会社・ラベル会社が「付加価値工程」を内製化しやすくなる
特に、ブランドオーナーが維持したい「発売サイクルの短縮」「SKU の増加」「EC 向け限定品の量産」などの要求へ、SPIRAL は高い柔軟性で応える。
商品紹介:https://pack.solution.co.jp/products/index3.html
商品動画:https://youtu.be/SnysZcA4l18
3. 美しい最終仕上げを実現 ― 特許熱旋風方式 TORNADO
シュリンクラベルの品質を決めるのは仕上げ工程である。
わずかな温度ムラでも、白化・シワ・浮きが発生し、ブランド価値を損なう。
そこで、日本テクノロジーソリューションが開発した TORNADO(トルネード) が注目されている。
■ TORNADO(熱旋風式シュリンクトンネル)
TORNADO の最大特徴は、四方向から熱風を渦状に流すトルネード方式。
蒸気式に匹敵する均一熱分布を、省スペース・省エネルギーで再現する点にある。
◆ TORNADO の実用メリット
• PET・OPS など多様なフィルムに対応
• 異形ボトルにも歪みなくフィット
• 蒸気設備が不要で導入が容易
• 電気式のためメンテナンス性が高い
• 小ロット〜中ロットのラインに最適
大規模飲料工場のような「1分間数百本〜数千本」の超高速ラインでは蒸気式が主流だが、多くの食品・飲料・家庭用品ブランドにとっては、TORNADO の方が 投資効率も運用効率も高い“最適解” となる。
商品紹介:https://pack.solution.co.jp/products/index2.html
商品動画:https://www.youtube.com/watch?v=-RhjXlMp6cM
4. SPIRAL × TORNADO が実現する “俊敏なパッケージング”
両装置を組み合わせることで、ブランド・印刷会社・ラベル会社の俊敏性、柔軟性、環境適性、コスト最適化 が同時に高まる。
■ ブランドオーナー向け価値
• 限定商品・新製品を短期間で市場投入
• 360°デザインでブランド世界観を強化
• 容器在庫を共通化しリスクを削減
• 環境配慮(脱墨不要のボトルリサイクルが容易)
■ 印刷会社/ラベル会社向け価値
• デジタル印刷の収益化(小ロットが損益分岐を超える)
• 前工程〜仕上げ工程を一貫提供できる「高付加価値サービス」化
• 競合と差別化できるパッケージソリューション
• ブランドオーナーとの直接取引機会が増加
総括 ― デジタル印刷時代の“機動力あるものづくり”の核に
市場の変化は速い。ブランドによるマーケティング戦略は、露出面を大きくとったパッケージを必要とし、限定品で話題を作り、EC と店舗に合わせたラインアップを柔軟に調整しなければならない。結果、SKUは激増する。その中心に来るのが SPIRAL × TORNADO による“デジタル印刷 × シュリンク × 最適化ライン” である。
多品種・小ロット・高付加価値 をビジネスモデルに組み込みたいブランドオーナー、自社の印刷ビジネスを「工程ビジネス」から「ソリューションビジネス」へ進化させたい印刷会社にとって、この組み合わせは 投資価値の高い次世代装置構成 といえる。
| 項目 | SPIRAL + TORNADO | 蒸気式シュリンカー | 一般熱風式 | 海外中小装置 |
| 小ロット効率 | ◎(段取り替え短い) | △(大ロット向け) | ○ | ○〜△ |
| デザイン自由度 | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
| 投資コスト | ○(蒸気設備不要) | △(ボイラー必須) | ○ | ◎(安価だが品質差) |
| 収縮品質 | ◎(熱旋風で均一) | ◎(最高品質) | △〜○ | △ |
| 印刷工程との親和性 | ◎(デジタル向き) | △ | ○ | ○ |
| 環境負荷 | ○ | △(蒸気の熱ロス) | ○ | △ |
| 適性領域 | 小〜中ロット、ブランド多品種戦略向け | 超大ロット(飲料工場) | 中小ロット | 低価格市場 |
SPIRAL×TORNADO は、“脱・大量生産型” に向かう市場トレンドと非常に整合している。
特に食品・飲料・家庭用品のように SKU が増え続ける業界では、「前工程〜シュリンク仕上げ」の一貫性は大きな武器になる。蒸気式は依然として高速大量生産の王者だが、投資額・設備規模・運用コストを考えると、中堅ブランド・印刷会社にとって現実解となるのは TORNADO 方式である。
“デジタル印刷 × シュリンク” を実用レベルで成立させるための装置構成として、SPIRAL と TORNADO は高い市場適合性を持つと考える。
PODiとしてはデジタル印刷機メーカー、特にインクジェット機メーカーが、より幅広くシュリンク素材への印刷を可能とし、コストを下げ生産性を上げ、新たな市場の形成に向けて努力されることを期待したい。




