COVID-19: 環境持続性にスポットライトを当てる WhatTheyThink?

環境持続性を推進することは、印刷業界において長年にわたって優先事項とされてきた。この記事では、印刷市場における環境の影響がますます高まっており、COVID-19がより持続可能なビジネス慣行への要求をどのように高めるかについて解説する。

  • 多くの人々が未だに印刷を森林破壊や汚染と関連付けており、印刷に対して環境に優しいイメージを作り上げる課題に直面している。
  • 風力や太陽光発電を受け入れることで、印刷事業はCOVID-19やその他の呼吸器疾患のリスクを低減するクリーンな企業としての地位を高めることができる。
  • 高度なエコ・フレンドリーなイメージを確立するには、印刷会社は自己調査を徹底し、持続可能なビジネスへのコミットメントを共有するサプライヤーからのみ購入する必要がある。

By Colin McMahon

始めに

環境持続性を推進することは、印刷業界において長年にわたって優先事項とされてきた。データが示しているものを見れば、環境への焦点はいまだかつてないほど強化されねばならない。Printing United Allianceによれば、リサイクル率は過去25年間で倍増している。 さらに、米国の製紙工場やパルプ工場は、バイオマスなどの再生可能燃料を使用して自社のエネルギーの約66%を発電していると報告している。これらの知見が多くの人々が未だに印刷を森林破壊や汚染と関連付けており、業界全体として、印刷に対して環境に優しいイメージを作り上げる課題に直面していることを示している。

COVID-19のパンデミックは、気候変動の話題を一時的に一面の見出しから押し出してしまったが、これは永遠に続くものではない。さらに、気候変動とCOVID-19を結びつける研究が既に発表され、今後も多くの研究が出てくる可能性が高い。誰も気候変動がパンデミックを直接引き起こしたとは言っていないが、一部の人々は、特定の状況がウイルスの重大性を増加させた可能性が高いことを示唆している。これらの主張が正確であることが証明されれば、印刷業界が環境に優しいという事を、その顧客と消費者に対して提示する事がこれまで以上に重要になる。FESPAの印刷調査によると、ほとんどの企業は事業をより環境に優しくするための行動を取っている。最も一般的な内容としては、エネルギー効率の高い、あるいは認定された機器の使用や、持続可能な製品のメリットに関するトレーニングの提供が挙げられる。

FESPA 環境持続の優先順位のデータ、Source: 2018 FESPA Print Census

 

COVID-19の重大度と大気汚染とのリンク

大気汚染はそのもの単独で既に危険であり、毎年世界で推定700万人の死者を出している。 これは特に、汚染とスモッグが多い都市に当てはまる。 加えてこれだけでは不十分であったかのように、最近の研究では大気汚染レベルとCOVID-19症例の重症度との間のリンクが示されている。 PM2.5は通常、自動車、発電所、火災、および砂嵐から発生する微小粒子状物質汚染物質である。 PM2.5の存在は、単独で肺組織に損傷を与えることができるが、この物質の量のわずかな増加は、顕著にコロナウイルス症状の重症度を増加させる。例えばこの研究は、ニューヨーク市でのCOVID-19の広範な流行が、高水準のPM2.5に関連していることを示唆している。

印刷会社は、自社のPM2.5の発生を、様々な対策を講じることで減らすことができる。 従来の発電ではPM2.5が高いレベルで生成されるが、太陽光と風力発電でははるかに少なくなる。これらの新しい発電方法の利用はCOVID-19の間に増加しており、将来的にはエネルギー生産においてより大きな役割を果たす可能性が高い。 これらの技術を今すぐ受け入れることで、印刷事業はPM2.5の大気汚染問題をあまり発生させないクリーンな企業として位置づけることができ、COVID-19やその他の呼吸器疾患の力を低下させることができる。

インクの多様性で有毒廃棄物を減少

印刷業界はまた、環境に優しいインクの使用を増やして、そのカーボンフットプリントを削減することができる。多くの古いインクは石油ベースであり、印刷プロセス中に危険な化合物を放出する。 石油は、掘削と水圧破砕法によってもたらされ、たびたび汚染を引き起こす。水性インク、大豆ベースのインク、野菜ベースのインクなどの新しいインク技術は、これらの危険な化合物を生成しない。 その上、これらのインクは使用後の洗浄とリサイクルが容易になる傾向がある。市場のすべての印刷機がこれらの新しいインクタイプが利用可能ではないが、ほとんどの新しい機械では可能である。これらの環境に優しいインクの多くは、石油や石油ベースのインクよりも購入コストが安く、利用可能な機械を購入した後の運用コストを削減できる。


大豆生産に関する簡単な事実(例として)、Source: North Carolina Soybeans

 

責任を持った調達の効力

自然は複雑な生態系であり、印刷業界も同様だ。 すべてが連結されているので、1つの側面は常に他に影響を与える。ある印刷会社が環境に優しいと主張して最高の評判を得たとしても、責任ある調達行為を遵守しなければ、それは棄損する可能性がある。調達はサプライチェーンを必要とするが、印刷会社のサプライヤーは精査に耐えられる必要がある。 環境に関しては、すべてのサプライヤーが平等であるとは言えない。例えば、世界のすべての環境に優しいインクを使用する会社を想像してみよう。素晴らしいスタートではあるが、その会社がリサイクル用紙を使用している会社から調達しないとなると、それは本当に持続的なことなのであろうか?

またリサイクル紙は、環境に優しい氷山の一角に過ぎないことも覚えておく必要がある。サプライヤーは、漂白やコーティングなどで、材料の処理を行う。これらは持続可能性を念頭に置いて行うことができるが、無責任な方法でも実行されてしまう。エコ・フレンドリーなイメージを実現するには、印刷会社は自己評価を行い、持続可能なビジネス慣行へのコミットメントを共有するサプライヤーからのみ購入する必要がある。

デジタル印刷のもう一つの利点

デジタル印刷は、印刷全体の生産量に占める割合は僅かであるが、無駄が少ない印刷方式として増加している。従来の印刷プロセスでは、多くの場合、利用されない量も製造されてしまう。そして利用されなかったものはほとんど海洋の埋め立て用になってしまう。 デジタル印刷は実需に基づいたオンデマンド印刷を可能とし、倉庫での廃棄なくし、顧客が必要とするものを生産することができる。

デジタル印刷は、小ロットの生産に対応するように設計されているため、印刷会社は大規模な材料注文などの古いサプライチェーンの制約から、少なくともいくらか距離を置くことを可能となる。新しいサプライチェーンは、より小さくより汎用性が高まるように形成されており、うまくいけば環境へプラスの影響を与える。

結論

気候変動は継続的な懸念事項であり、実際の持続的な行動なしには改善することはない。 COVID-19のパンデミックは、世界とその社会が自然の脅威にどれほど脆弱であるかを示した。COVID-19の今とその後に最も成功を収めるビジネスは、環境に責任があると考える企業であろう。今日の消費者は、商品がどこから来たのか、そして持続可能なサプライチェーンに連なるために自分が何ができるか、を未だかつてなく考慮している。 COVID-19の深刻さを環境汚染と結びつける研究が進み、今後さらに多くの研究が行われる中、優れた印刷会社は可能な限り環境問題に対してグリーンになることに力を注ぐであろう。

しかし、同時に、これらの対策は表面的であってはならない。インターネットのおかげで、人々は購入を予定している企業に関する調査を行う能力と、十分な時間を所有している。その結果、持続可能な慣行への投資だけでは不十分であり、印刷会社は積極的にその努力を促進する必要がある。透明性を保ち、持続可能性の名の下に行われたすべての努力を示すことが重要です。印刷業界にとって、未来はグリーンたれ!

 

By Keypoint Intelligence
Published May 28, 2020
原文 COVID-19: Putting Sustainability in the Spotlight

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