動画が印刷と出会う:二つの世界の激突

マーケッティング部門の人間は、動画を、メッセージをより簡潔に伝え、顧客と結び付く手段とみなしている。ここにきて動画と印刷の世界は統合する様相を帯び始めた。この文章ではAmerichip社がどのように二つの世界に橋をかけたかを研究する。

マーケッティング部門の人間が、動画を最もインタラクティブなメディアと考えるようになって来ている。マーケット部門からみると、動画は他の手段よりメッセージを簡潔に伝えることができ、顧客と結び付くことができる。動画は現代の社会人の娯楽用のスマホなどの画面に登場する。マーケティング部門や印刷会社は次の簡単な質問を考えるべきであろう。「印刷と動画の二つの世界を統合する方法は何か?」



動画:事実と科学

動画に関する切実な事実がある。統計資料を参考にすれば見えてくる。

 

  • Cisco社(シスコシステムズ合同会社)によれば、2019年には消費者のインターネットのトラッフィクの80%−90%動画になりつつある。
  • Forbes Insights(フォーブス誌)のアンケートによれば、75%の企業の重役が週一回程度、仕事に関する動画を見ている。これは若い世代よりも高い比率である。
  • マーケティング学の教授によれば、70%のマーケット部門の人間が、他のどの手段より動画の方が、コンバージョンが多いと考えている。
  • Axonn社(コンテンツマーケティング会社)の研究結果によれば、10人の見込み客の内7人が、会社の制作した面白い動画を見ることにより、ブランドを引き立てるようになる。
  • Forest Research社は、1分の動画は、単語で180万語相当の伝達を行うとレポートした。これは一般のホームページ3,600ページ相当であり、動画の伝えられる量は、決して無視することはできない。もし1時間に1ページのウエブページを制作しても、1分の動画と同じ伝達量を目標とするならば、150日が必要である。

 

客が動画を好むには、実は科学的な理由がある。Susan Weinschenk博士(「ブレイン(脳)レディー」と呼ばれ広く知られており、顧客の心理と行動の専門家である)は動画を好むのは、我々のDNAに刷り込まれていると信じている。我々は、人間の顔に、情報や信憑性が集中していると刷り込まれている。更に人間の音声が、情報を処理することを補助している。さらにWeinschenk氏の研究結果によれば、動画で伝わるボディーランゲージ(身振り手振り)が観客の感情に影響し、見たものを周りの人達とシェアしたくなる。最後に、太古の昔から、人間とは動くものには注意するように、刷り込まれている。


Americhip社:印刷と動画の二つの世界に橋をかける

Americhip社 (カリフォルニア州ロスアンゼルス)は印刷物を活性化させるべく、印刷と動画の二つの世界に橋をかけている。同社は自社を、マーケティングと広告技術のデザイナー、開発者、メーカーとみなしている。印刷と動画を結合させる先端コミュニケーション技術の開発に関するパイオニアで思想的なリーダーであらんとしている。直近では「video in print」(印刷物内の動画)という技術がフォーブス誌に紹介された。 2016年5月10日に発行されたフォーブスの特別号には実験的にいくつか選択した部数に本当の動画が埋め込まれている。その号はBAE Systems社の Applied Intelligence Division(サイバーセキュリティ会社)の広告として、動画のプレイヤーが埋め込まれている。Americhip社が印刷ページ内で動画を再生できる技術を開発した。この紙の中に埋め込まれた、紙の様な薄さで高い品質の動画を再生できる技術が、ディジタルと印刷の違いを曖昧にするのではないか。BAE Systemsの広告に入っている動画は、「Moment of Truth」(正念場)と名付けられ、彼らの見込み客である経営者層をターゲットとしている。

この種の技術が、ここで最初に紹介されわけではない。去年、シボレー社(自動車)がコロラドという新しいトラックのキャンペーンで印刷物の広告に動画を埋め込んだ。 2015年5月のエスカイヤEsquire誌とPopular Mechanics雑誌の特別な号で3部ある動画の内の1つが見れるようにした。3つの動画は、シボレーの広告代理店(Commonwealth//McCann)が制作した。 約20,000人の見込み客が、印刷ページに動画プレイヤーが埋め込まれたEsquire誌またはPopular Mechanics誌を受け取った。

Americhip社はさらに一歩進めて、商品のパッケージに動画を埋め込んだ。Americhipのケーススタディとして、Brooks Sports社(スポーツ服会社)のTranscendブランドのランニングシューズの新製品発売をサポートした例がある。このランニングシューズは新しい素材と技術でクッション性を高めた物で、Brooks社はこのユニークな価値命題に対して顧客を教育するよりよい方法を探していた。動画は、このメッセージを伝える理想的なメディアであった。

商品の市場への導入の一環で、Americhip社は、Brooks社とその広告代理店と共に、特別なパッケージを制作することにした。その靴箱に動画モニターが埋め込まれ、新製品の紹介のため「将来からの」動画を映像できるようにしていた。

結論:動画はあなたの将来か?

動画こそが、コンテンツマーケティングの未来ある。研究結果によれば、50%以上の企業は既に動画を利用している。より多くの企業が動画の価値を認識しつつあり、この率が上昇していく。 Nielsen(ニールセン社)の研究結果によれば、64%マーケティング部門の人間が、近い将来にマーケティング戦略は動画に席巻される、と考えれている。確かに相違ないだろう。惹きつけるだけに限らず、動画は顧客にブランドを記憶させ、行動を喚起するものである。Americhip社の活動で、動画が印刷と統合できるようになってきた事が証明された。そろそろ皆さんも、独自の動画戦略をもつべきであろう。

 

 

  

whattheythinkmini
By Barb Pellow
Published 2016年5月12日
原文 http://whattheythink.com/articles/80356-video-meets-print-two-worlds-collide/

  

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