多くのマーケターは、印刷を視覚的により魅力あるものにし、顧客の行動を促す手段として、カラー+パーソナライゼーションの活用に注目している。本記事では、カラー+パーソナライゼーションの効果について調査したInfoTrendsのレポートを取り上げる。
要約:
- 大手企業の85%は、2018年までにカスタマーコミュニケーションをフルカラーで印刷することを見込んでいる。
- フルカラー化する最も大きな理由に、ブランドの構築、わかりやすくする、競合との差別化などがあげられる。
- 大手企業は、データを梃子に、よりカスタマイズ・パーソナライズされたオファを提供している。
今日の市場では、第一印象で好感を与えることがすべてである。情報過多となっているため、時間を掛ける価値があるかを判断するために、人々はウェブサイト、郵便物、ビデオなどを拾い読みするようになった。マーケターは、生活者が読み込んで行動を促すような、視覚的に強くアピールをする販促物を製作するため戦略を日々模索している。これは多くの場合、カラーとパーソナライゼーションを活用することを意味するのだ。
カラーのインパクト
Kissmetrics社の図解レポート、Infographic from Kissmetricsを見ると、カラーがいかに人の脳に心理的にインパクトを与え、購買に影響を及ぼしているかがうかがえる。以下はそれを実証するデータだ。
- 人々の92.6%が、味覚や嗅覚よりも、視覚が一番購買の判断に影響すると言う。
- 人は、製品を最初に見てから90秒以内に、潜在意識で判断を下すという調査結果がある。この判断の90%までがカラーによるものだという。
- 雑誌を読むときに、フルカラーとモノクロの広告を比較すると、そのカラー広告の認識率の方が26%高い。
マーケターがなぜカラーを益々コミュニケーションに採用するのか納得がいく。「2016年度カスタマーエンゲージメント技術の市場調査」において、InfoTrendsが北米、南米、欧州の大手企業800社の経営幹部を対象に調査したところ、80%以上の大多数が、フルカラー印刷をプロモーション用、あるいはトランザクション用のコミュニケーションに採用することが重要であると答えた。カラーの重要性は増すばかりで、2018年までに企業の85%がカスタマーコミュニケーションのフルカラー化を見込んでいる。
プロモーション(商業印刷)・トランザクション(請求書等)でのコミュニケーションで、フルカラーが何故採用されるのかには、いくつかの理由が挙げられる。最も重要な理由に、ブランド構築、受け手理解を容易にする、競合との差別化などが上げられた。もはや、フルカラー印刷は今日のコミュニケーションに不可欠のものとなっているのだ。
カラーを好む消費者
InfoTrendが発行した「ダイレクトマーケティング・プロダクションプリンタと付加価値サービス:成長のための戦略」Direct Marketing Production Printing & Value-Added Services: A Strategy for Growthと題した調査によると、戦略的にカラーをDMに使うと、レスポンス率を改善することが明らかとなっている。フルカラーの画像は、広告製品をリアルに表現するため、消費者の注目を引く。また、カラーを使って、メッセージをパーソナライズし、過去に購入した製品の画像と文字をマッチングすることができる。さらに、消費者の49%近くが封筒にカラーを見ると、開封にいくばくかの又はかなりの影響を与えるという。
同調査では、カラーの活用は25~34歳に最も効果的で59%が若干またはかなりの影響を受けるという。最も効果が薄かったのは50~65歳で39%にとどまった。調査を属性別に細かく見ていくと以下が判明する。
- 世帯の収入が多いほど、カラーを施した封筒を開封する可能性が増す。
- 最も高いレベルの教育を受けた人達は、カラーを施した封筒を最も開封する可能性が高い。
- DMの封筒に施したカラー印刷の効力は、性別、又は、子供がいるかいないかに関係がない。
マーケターは顧客との繋がり=エンゲージメントを促すためパーソナライゼーションを活用する
InfoTrendsの「2016年度カスタマーエンゲージメント技術市場調査」で、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)と全体的な顧客との繋がり(カスタマーエンゲージメント)をどのように改善していくか、その計画について大手企業の幹部にきいたところ、データを梃子に、よりカスタマイズ又はパーソナライズされた特典(オファー)を提供していくとの意見が多かった。
カラー+パーソナライゼーションは新しいものではないが、コストが下がっている
カスタマーコミュニケーションにカラーを用いることは何も新しいことではない。従来DM業者や請求書等の製作業者は、ロゴ、ハイライト文字、背景色などカラーデザインをオフセットで印刷し、デジタルでモノクロの可変の部分を印刷してきた。しかし、最近では、インクジェットプリンタを使い、白紙からワンパスで高品質なカラーをコスト安で印刷できる技術が多くなってきている。インクジェットヘッドやインクの改善やインクジェット専用の用紙の選択肢が増えたことなど、インクジェットにまつわる技術が進展することにより、フルカラーのプロモーション用、トランザクション用ドキュメントを製造するコスト構造に変化をもたらし、オフセットによる台紙の印刷が不要となってしまったからだ。デジタル印刷は、多岐にわたるマーケティングアプリケーションを本格的に生産できる技術となりつつある。今日のデジタル印刷技術は、高速でオフセットに近い品質で、マーケティングが要求する100%バリアブルによるコンテンツや、封筒へのメッセージを印刷することがきるのだ。
結論:パーソナライゼーションとカラーの価値を印刷会社は売らないといけない
マーケターにとって、インクジェットが提供する価値は、印刷コストを遥かに凌駕している。それによって、カラーが全く新しいアプローチで人の注目を促すからだ。印刷会社は、インクジェットによって、フルカラーと個々に向けた個別のメッセージをブレンドさせることが可能になり、お客様の事業の成長に役立てることができることを訴求する必要があろう。印刷会社、マーケティング会社は、いかに高い効果をもたらすコミュニケーションを効率よく提供するか具体的に支援しなくてはならならい。インクジェットが提供する価値は、今日のマーケティングと事業の目標に沿った新しい可能性を切り開くことであろう。それらは、企業のマーケティング幹部が重要視するもので、以下の通りだ。
- マーケッターが小グループや個人をターゲットとする支援をする。
- テストキャンペーンを迅速かつ低コストで行う。
- 競合に迅速に対応するためのマーケティングキャンペーンを実施する。
- より高い効果のキャンペーンを実施するためCRMデータを活用する。
- 請求書の白紙の部分に関連性の高いメッセージを載せることにより同封物をなくし、郵便料金を削減する。
- 事前に印刷された台紙の処理、保管や陳腐化などを削減できる。
- 封筒に関連付けられたメッセージを掲載して、顧客に封筒を開封させ中身を見させる。
インクジェットに投資するということは、次元の違う価値をお客様に提供することを意味する。今日の印刷機、加工機技術、ワークフローなどによって、長年実現できなかったフルカラーでワンツーワンのパーソナルメッセージを提供することができるようになった。企業のマーケティング経営者は、顧客のロイヤリティを向上させる技術をもとめており、顧客とのさらなる結びつき(エンゲージメント)とリアルタイムなコミュニケーションを提供することにより、事業を拡大しようとしている。印刷会社は、今こそお客様とこれまでと異なった対話をすべきで、彼らが消費者に注目されるよう手助けすべきであろう。
By | Barb Pellow |
Published | 2016年7月21日 |
原文 | http://whattheythink.com/articles/81507-color-plus-personalization-selling-value-inkjet/ |
翻訳協力 | Mitchell Shinozaki |