HP Inkjet drupa 2016 PageWide、段ボール PageWide HD(WhatTheyThink?)

私が最初にHPをプロダクション・インクジェットで取り上げた際に(参考記事:英文)その革新的なサーマルヘッドについて語った。そしてそれが今日のHPのプロダクション・インクジェット機の開発をもたらしている。その時からHPにはいくつか大きな変化が起こっている。昨年11月にはHPは会社を分割している。

HP Enterpriseはデータセンター向けの技術とサービス事業に
HP Inc.,はデスクトップからプロダクションにまで至るプリンターに集中し、最近では3Dプリントにも進出している。分割にあたって、HP Incはそのインクジェットビジネスとプロダクション商品ラインのブランドを変更した。ページ幅(PageWide)に配列されたヘッドを基本としているプロダクション商品には、それにちなんでPageWide連続紙印刷機と名付けた。これまでのPageWideシリーズはHPが2009年に発表した4.25インチのプリントヘッドを利用していたが、今回のdrupaでの発表は新しいHigh Defininition Nozzle Architecture(HDNA)=高解像度ノズル構造による技術である。詳細は後ほど。



HP サーマルインクジェット

HPはドロップオンデマンドのサーマルインクジェット技術を1970年代半ばから開発しており、その技術を商品に利用することで差別化を計ってきた。他の多くの競合はドロップオンデマンドのピエゾ型、あるいはコンティニュアス方式を用いていた。それぞれのヘッド技術に長点がある。対象となっている印刷機を見ながら、それぞれの長所を見て行く。下記の動画がHPのサーマル技術をよく表してる。

 

 

PageWide 連続紙印刷機

T300を発表したdrupa2008以来、HPのプロダクション商品は生産性が高く、その累積設置台数で500兆ページの印刷を行い、プロダクション・インクジェット市場で約24%を占めると推定している。HPはその印刷機シリーズを主な3つのアプリケーションで分けている:モノクロ、カラー、そして最新のクラスである段ボールパッケージである。

これらは核となる3つのハードウェアがプラットフォームとなっている: T200 (最大幅20”=50cm、400 fpm=122m/分), T300 (最大幅30”=75cm、600 fpm=183m/分) と、T400 (最大幅42”=106cm、600 fpm=183m/分) モノクロ商品以外は、それぞれの用紙幅に対応している。モノクロは、T260 が26″幅=66cmに対応している。カラー連続紙の印刷機が発表されて以来、drupa2008では最速の機械であった。HPのインクジェット技術は持続的に進化している証である。今の焦点は、信頼性とスピードから徐々に品質に移行しつつある。


PageWide HDNA 印刷機

2015年にHPは最新のヘッド技術HDNAを発表し、1年前に詳細をお届けしている(参考記事:英文)。

2015年9月にHPはHDNA技術を搭載した二機種を発表している。drupa向けには三機種が新たに発表されている。HDNAのプリントヘッドは1インチあたり2,400のノズルが配備されており単色のヘッドが2種類の液滴を生産できる。プリントヘッドには計21,120のノズルがあり、これらは二つの部屋に格納されており、各部屋から10,560のノズルに向けてインクが供給される。これは異なった2色の供給も可能であるし、1色を重ねて射出することも可能である。

ノズルは二種類のサイズがある:重液滴ノズルと軽液滴ノズルがあり、小さい軽液滴ノズルが重液滴ノズルの間に配置されている。この新しいノズルの構造によってピクセル当たり6段階のグレーが可能となり、今までと同じHP A50インクを使いながらもあらゆる色領域で色表現が改善している。HD印刷機はパフォーマンスモードで高出力を、クオリティモードでより品質を要求するジョブを出力する。今まで見た中では、クオリティモードで印刷されたものが傑出している。

2015年にHPは初めての42インチのHDNA印刷機を発表した。T470 HDは最速で、パフォーマンスモード時600fpm=182m/分、クオリティモード時400fpm=121m/分、T480 HDはパフォーマンスモード時800fpm=242m/分、クオリティモード時400fpm=121m/分で印刷が可能である。 現時点ではイタリアのDMと商業印刷の会社であるRotomail社がT480のベータテストを行っており、欧州で最大の出版印刷会社であるCPIが、現在保有しているT410 をT480 HDへのアップグレードを5月に行った。さらにdrupaにおいてHDNAの顧客の発表が予定されている。

HDNAをさらに推し進めるために、HPはdrupa2016において三機種の印刷機をラインアップに加えた。42インチ幅のT490 HD、モノクロのT490 M HD 両機ともにパフォーマンスモード時1000fpm=304m/分、クオリティモード時500fpm=152m/分で印刷が可能である。さらに22インチ幅のT240 HD はパフォーマンスモード時500fpm=152m/分、クオリティモード時250fpm=76m/分で印刷が可能である。HPはT470HDとT480HDのクオリティモード時のスピードを500fpm=152m/分に加速した。2017年にはT300 シリーズにもHDNAを適用すると思われる。


PageWide 段ボールパッケージ印刷機

インクジェットの品質が向上するにつれて、より多くの印刷機メーカーが新しい市場をターゲットにして、既存の印刷技術を置き換えることができるようになる。HPはパッケージソリューションを行っており、HP Scitexシリーズでは段ボールの印刷も行っている。2014年、2015年とHPは高速インクジェット連続紙で段ボールのトップライナーを印刷するソリューションを発表している。この方法によって、小-中ロット、あるいはバリアブルの段ボールが高い生産性とコスト効率を上げて生産することができる。

HP PageWide T400連続紙印刷機は、42インチ幅を600fpmで、片面をカラーが可能だ。これは2011年より市場で稼働している。T400シリーズの筺体を利用している。さらにHPはKBAと共同開発で、HP PageWide連続紙印刷機T1100Sを発表した。この印刷機は幅110インチ=2.8mを600fpm=182m/分で印刷できる。この印刷機は、Multi-Lane Print Architecture(MLPA=複数レーン面付けソフトをサポートし、印刷幅を複数のレーンに分割することができる。これによって、各種箱や、ロット数が異なるジョブを面付けして印刷することができる。


結論

多くのプロダクション・インクジェット商品は、一義的なターゲットとして、枚葉、連続紙ともに液体、粉体の電子写真方式の印刷機の置き換えを狙っているが、HPのPageWide‘T’シリーズはオフセット印刷機の置き換え用に作られている。オフセットを置き換えるに十分なスピードと耐久性は備わっていたが、ターゲットとするアプリケーションの要求品質までには至らなかった。新しいHD印刷機でターゲットとなるアプリケーションは、今までのトランザクションと書籍を超えて、高品質のダイレクトメール、販促物、雑誌、カタログ等に広がっている。このシリーズの冒頭で述べたとおり、インクジェットへの移行は、継続するだけではなく加速される。このHDNAによってさらに加速されるであろう。

 

 

  

whattheythinkmini
By David Zwang
Published 2016年4月12日
原文 http://whattheythink.com/articles/79841-inkjet-drupa-2016-hp-pagewide-corrugated/ 

  

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