Sunrise 2027とサプライチェーンの再編:ラベル印刷はどこへ向かうのか①2次元コードが動かす世界的な転換点

Sunrise 2027とサプライチェーンの再編──ラベル印刷はどこへ向かうのか第1回:2次元コードが動かす世界的な転換点。
GS1サンライズ(Sunrise 2027)は、流通コードの国際標準を策定するGS1が主導する世界的な取り組みで、2027年末までに従来の1次元バーコード(JANコードやEAN/UPCなど)から、QRコードやデータマトリックスといった「2次元バーコード」への移行を目指すものだ。50年続いたバーコードの仕組みが大きく書き換わろうとしており、この変化はサプライチェーン全体の姿を根本から変えていく。ラベル印刷業界にとっても、これは避けて通れない大きな転機となる。

Sunrise 2027──50年ぶりの標準刷新が始まる

Sunrise 2027の目標は、2027年末までにGS1標準のQRコードが世界中で当たり前に使われる環境を整えることにある。メーカーは商品パッケージに2次元コードを実装し、小売はPOSで問題なく読み取れる体制を整える――つまり、2次元コードを前提とした運用基盤にメーカーと小売の双方が対応することで、流通における共通の土台が業界全体に行き渡るということだ。

なぜ今、2次元コードなのか

2024年、初めてバーコードがスキャンされてから50周年を迎えた。50年を経て、今の仕組みが刷新されることには、複雑化するビジネスのニーズに対応しきれなくなったという背景がある。
近年はサステナビリティ対応や物流効率化、規制順守、消費者への情報提供など、商品にまつわるデータが求められる場面が大きく広がっている。POSではJANコードで商品そのものは識別できても、賞味期限やロット番号といった属性情報は依然として目視確認に頼るケースが多い。
B2B領域でも同様に、期限やロットのやり取りがマニュアルで行われる場面が残っている。人手不足が深刻化するなか、こうした情報を効率的かつ正確に扱うためには、2次元バーコードをはじめとする自動認識技術の活用が急務となっている。

世界と日本で広がる移行の動き

こうした課題を背景に、世界でも2次元コードへの移行が現実の動きとして広がりつつある。すでに48カ国でパイロットが進行し、世界GDPの88%をカバーする規模に達している。
昨年6月の共同声明には、P&G、L’Oréal、Nestlé、Carrefour、JD.com、Alibaba、Barilla など、世界の主要小売・消費財企業が名を連ねる。日本でも、イオン、セブン&アイ、ユニ・チャーム、花王などをはじめ、多くの企業が2次元コードの実証や導入に向けて動き始めており、2027年に向けた移行は着実に進んでいる。

日本企業にとっての戦略的意義

日本企業にとっても、2次元コードへの対応は大きな戦略的意義を持つ。日本におけるHACCP対応や欧州のDigital Product Passport(DPP)、2026年1月に最終規則が施行される米国食品安全強化法(FSMA)など、各国で進む規制対応に活用できるのはもちろんだ。
しかし、2次元コードがもたらす変化はそれにとどまらない。サプライチェーン全体でのトレサビリティの実現、店舗や物流を含むビジネスプロセスの効率化、そして消費者とのエンゲージメント向上など、変化が起こる領域は広い。実証実験では、その変化がすでに現場で具体的に現れ始めている。

現場で見え始めた変化──実証実験の例

その一例として、経済産業省が主導する「流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業」の一環として、佐賀県唐津市のまいづるキャロット浜玉店で実施された取り組みがある。フードロス削減につながる取り組みとして、賞味期限の短い商品を対象に、2次元コードに消費期限情報を付与し、POSで読み取る仕組みを検証した。その結果、値引き判断の自動化や在庫管理の効率化を通じ、業務効率化と人件費削減につながった。
値引きシールの貼り付けなど従来は人手で行っていた業務が自動化されることで、人手不足が深刻化する日本の小売現場にとって大きな意味を持つ。これも、2次元コードを活用することで実現する大きな変化の一つである。
こうした自動化の進展は、一見すると値引きシールなどの印刷物が減る方向に見える。しかし、実際には減るものと同時に新たに求められる価値も生まれており、ラベル印刷会社にとっての影響は単純な増減では語れない。では、この変化はラベル印刷会社にどのような意味を持つのか――次回は、その点を整理していく。

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