リモート化には、人間的な要素に加えて、技術的な要件(IoTや自動化など)もある。この記事では、Keypoint Intelligenceが、変化するビジネス世界の、現在と将来の現実に備えるための戦略を概説する。
- 印刷会社の約75%は、COVID-19の発生前に、リモートワークフローをサポートするための技術的な強化を既に行っていた。
- 米国では、パンデミック、抗議活動、景気後退の影響など、すべてが緊張、抑うつ、不安を煽っている。突然、リモートワークフローへのシフトを余儀なくされたことは、経営者やオーナーだけでなく、従業員にも大きな驚きを与えている。
- 従業員の4分の3以上(76%)が、柔軟性のあるリモートワークの選択肢が認められれば、現在の雇用主に留まると答えている。
始めに
現在進行中の COVID-19 パンデミックは多くの変化を引き起こしており、週を追うごとにその変化のいくつかは恒久的なものになってきている。リモートワークフローは、米国では長い間 憶測(いいかげんな推測)と議論の対象となっていたが、ますます通常のビジネスとして定着してきている。多くの業界で、従業員(ワーカー)は自宅の書斎から報告することに慣れてきており、オフィス内に限られた時間しか管理者が居なくても、高い生産性を維持するため効果的なテクニックが開発されている。
重要な(エッセンシャル)ワーカーは常に現場で働く必要があり、誰が会社オフィスに出勤しなければならないかは、経営者や意思決定者の判断に委ねられることになるが、それが決定されれば、リモートワークの労働力を維持し、高揚させ、継続的に再集中させることができる。
この記事では、企業が新しい日常とリモートワークの拡大に向けてシフトする際に、考慮しなければならない技術と戦略のいくつかに焦点を当てている。
IoTと自動化の価値
企業が従業員とワークフローについて考える前に、まず仕事のための適切な技術を持っていること、およびそれらのソフトウェアおよびハードウェアソリューションが適切に実装されていることを確認する必要がある。Keypoint IntelligenceがFESPAと連携して実施した2018年の調査データによると、多くの印刷会社は2年前から既にリモートワークフローを可能にするために役立つソリューションで従業員を訓練することを優先していた。これらのソリューションには、クラウドサービスやデザイン/作成ツール、インタラクティブな顧客コラボレーションツール、eコマースポータル、デジタル資産管理プラットフォームなどが含まれている。
これらの投資を行っていなかった印刷会社は僅か24%で、COVID-19の発生前からすでに4分の3以上の会社がリモートワークフローの促進に取り組んでいたことを示している。
しかし、トレーニングは答えを解く方程式の一部に過ぎない。
この移行を成功させたいと考えている印刷会社は、ソフトウェアとハードウェアのソリューションにも投資しなければならない。具体的には、インターネットに接続されたデバイスやクラウドベースのソフトウェアソリューションへの投資が必要となる。さらに重要なのは、これらのソリューションの使いやすさである。特にパンデミック時には、対面でのトレーニングには費用が掛かり、リスクを伴う可能性がある。印刷会社は、購入する前にソリューションの直観性と使いやすさを評価する必要がある。
また 自動化の有効性を向上させるためには、これらすべてのことが必要である。
これは既に印刷業界に影響を与えていたが、COVID-19によってさらに加速されるのである。
企業が現場で必要とされる従業員数を削減する前に、通常の作業手順を実行し、ワークフローを監視し、機械のエラーを検出し、離れた場所から問題点を特定して修正するための、適切な技術を持っていることを確認しなければならない。
職場の文化を変える
印刷会社は、業界で最も技術的に最適化された生産設備を持っていたとしても、財務的・経営的な目標を、達成できない可能性がある。
リモートワークフローへの移行は、人的な要素も考慮しなければならず、これが最も重要な要素となるからである。
2020年は、予想外の出来事が起こる年であることに加え、これまでにないストレスの多い年でもある。パンデミック、抗議行動、不況の影響など、すべてが米国を支配し、緊張、抑うつ、不安を煽っている。突然リモートワークへの移行を余儀なくされたことも、経営者やオーナーと同様に従業員を驚かせている。
リモートワークへのシフトを妨げているものはいくつかあるが、その中には企業は物理的なオフィス(場所)がなければ文化を育むことはできないという考え方がある。この信念が必ずしも正しいとは限らなく、仲間意識はどのような環境に於いても努力を必要とする。
リモートワークでは、従業員がガス抜きをしたり、人生の話を交換したりすることができる「井戸端会議」などが存在しない。また アイディアを話し合ったり、計画を練ったりするためにオフィスを訪問することもできない。このような対面でのやりとりをバーチャルで代替できなければ、士気が低下する可能性がある。
印刷会社は従業員の幸せを優先する必要がある。従業員を幸せにして従事させることは、当然のことであるが、仕事の生産性を高めることにもつながる。
リモートワークにはいくつかの誤解や落とし穴があるが、企業はそれらを克服して、リモートワークの従業員が最大限の能力を発揮して仕事に従事し続けることができるようにしなければならない。
柔軟さこそ王道
リモートワークを採用するもう一つの説得力のある理由がある。SmallBizGenius社がまとめたデータによると、リモートワークを許可している企業は、許可していない企業に比べて従業員の離職率が25%低くなっている。
この調査では、従業員の4分の3以上(76%)が、柔軟なリモートワークの選択肢がサポートされていれば、現在の雇用主に留まる可能性が高いことも示されている。また、4分の3以上の従業員(76%)が、柔軟なリモートワークの選択肢が認められれば、現在の企業に留まることを選択すると回答していることにも注目すべきである。
さらに、COVID-19が流行する前から、リモートワーカーの全体的な割合は着実に増加している。実際、2005年以降、リモートワーカーの数は100%以上増加している。
これらの統計を総合すると、この激動の年になる前から、リモートワークは既に一般的になりつつあったことが分かる。印刷会社が優秀な従業員を惹きつけ、維持したいと考えているのであれば、先を見抜く見識がなければならない。
今日の労働者は、柔軟性と自宅で仕事ができることを重視しているので、オフィスでの生産性の高い日々が、リモート環境にどのように組変わってくのかを検討することが重要となる。
結論
COVID-19は多くの変化を引き起こしたが、その中にはパンデミックが終わった後でも取り返すことができないものもあるであろう。
よりリモートで柔軟性のある業務へのシフトが加速し、パンデミックが治まった後も、多くの従業員がこうした対応を期待し続けることになるだろう。
今日の印刷会社は、現代的な職場の基準に対応する、機敏さと意欲を持っていなければならない。
最初のオンラインパネルでは、リモート生産性の課題を詳しく取り上げ、パンデミック期間中に従業員の有効性と幸福度を最適化する方法を論じた。
次回のオンラインパネルでは、この方程式のすべての側面をカバーするために、自動化の価値と、印刷会社が将来的に前進するための装備をどのように確保できるかを探る。
今日の変化する世界では、最適な適応戦略を持った企業が最も成功を収める可能性が高い。今日、COVID-19の課題に対応している印刷会社は、将来のリーダーとしての地位を確立することができるであろう。
By | Keypoint Intelligence |
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Published | July 30, 2020 |
原文 | Going Remote in the Print Industry |