EFIのEscadaシステム買収で、段ボール向けのワークフローが完成する WhatTheyThink?

EFIのEscadaシステム買収で、段ボール向けのワークフローが完成する
EFIがパッケージ用段ボールシステムのEscadaシステム社の買収を発表した。この英国の会社によって、これまでのCTI(ERP)の買収と段ボール用デジタル印刷機Nozomiの開発とあわせて、EFIの段ボール向けのエコシステムの パズルが埋まっていく。Nick Benkovichに内幕を聴く。

EFIは商業印刷から始まって、パッケージ、テキスタイルに至るまでの数多い商品セグメントのエンドトゥエンドのワークフローを築くためにエコシステムを構築してきた。よって昨日発表したEscadaシステム社の買収によって、パッケージ市場においてEFIの段ボール向けのエコシステムが出現するのは驚きではない。2015年10月には、Corrugated Technologies社(CTI)を買収し、エンタープライズ向けパッケージプロダクティビティスイートに統合した。段ボールに特化したERPソリューションとして、CTI社は、見積もり、EDI受注入力、段取り、コスト、請求、購買、スケジュール管理といった機能を提供してきた。

段ボール向けFiery

EFIの商品管理ポートフォリオの上級ダイレクターのNick Benkovich氏は、“Escadaシステムは2種類のコントローラーを持っている”という。“「ドライ」なコントローラーは、フロントエンドを制御する。紙が入り、製造要件をセットアップし、湿度、温度管理をする、といったところだ。バックエンドでは「ウェット」なコントローラーが、プリセットインターバルでの断裁を制御している。さらにEscadaのシステムは、ロール紙の在庫やバックエンドでの品質、強度、断裁面積、耐久性、その他のテスト用の板紙をライブでトラックしている。.さらにRFIDのチップを段ボールに埋め込み、将来のトラッキングを可能とするユニットも保有している。”

Benkovich氏曰く、BHS、Fosber、Marquip、他の段ボール製造大手は、独自のウエットとドライのコントローラーを持っているという。しかし多くの段ボール工場では、商業印刷会社、パッケージ会社と同じく複数のベンダーから段ボール製造機を調達している。この場合は、彼らのシステム間で共有できるオープンなコントローラーのインターフェースが好まれるという。 Escada社はそこにユニバーサルなコントローラーを提供している。さらには通常はサポートされていない、他の生産システムとのインテグレーションも可能としている。

Escada社はFiery的な、個々の機械を越えて結合していくサービスを段ボールに提供している。同時にBenkovich氏は、段ボール製造業者は特にEscadaのフロントエンドに制約されないという、従来と同じ課題があると認める。
長年にかけてEFIは選択した市場においてFieryのOEMパートナーのポートフォリオを築き上げてきた。恐らくEFIはこのスキルと技術を段ボール市場に持ち込むであろう。その際のパートナーは段ボールの製造機メーカーとなるであろう。
現在のEscadaシステム社はFieryのように洗練されてはないが、恐らくそうなるであろう。


Escadaシステム社のコントローラーとFieryNX
Nozomiはどこに?

もうひとつのFieryの段ボール市場への参入の武器がNozomiである。drupa2016でデビューした段ボールに直接印刷するデジタル機は、最初のベータ設置も成功している。CEOのGuy Gechtはベータ機が週7日24時間稼働しており、検収があがったことを四半期報告においてレポートした。売上、製造とも2018年度は立ちあがるとし、第一四半期に6台の受注があるという。

Benkovich氏は、“Nozomiは段ボールの総合印刷業に向いている”という。小ロットの段ボールの印刷が可能で、フレキソでは対応できない市場で役割を担う。多色印刷にコストがかさむフレキソに対して、分岐点は1000単位という。さらにNozomiは古いフレキソ印刷機よりも高品質な印刷が可能である。段ボール業者に対してより広いサービスを提供することが可能となる。今やCTIとEscadaシステム社の買収によって、段ボール業者に対して強力な提案を行う事ができる。”

Benkovich氏は、Escadaシステムの市場での導入数を明らかにはしなかったが、数百の単位だという。“市場には数千の段ボール業者が存在する。市場は確実に存在する。新しい市場ではなく、熟成している。工場はより早く自動化された新しいシステムを導入するが、古い機械も決まった仕事で回り続ける。複数のベンダーから機械を導入するのは一般的で、統合型のコントローラーでオペレーションを容易にし、新しい機器に対する習熟を早めるのは価値がある。”という。

.Benkovich氏は、さらにCTIとEscadaシステムの共通の顧客は、両者が共通の傘に収まる事によって、統合が加速していると述べている。

 

whattheythinkmini
By Cary Sherburne
Published 2017年10月3日
原文 http://whattheythink.com/articles/86512-mid-year-progress-report-2017/
翻訳協力 Mitchell Shinozaki

関連記事

ログイン

ピックアップ記事

  1. 2024年は、8年ぶりのリアルdrupaの開催が話題となった。
  2. インクジェットプレスを評価する際、一般的に生産性、印刷品質、コストなどあげられるが、サイズも重要な項...
  3. DTPや製版工程を中心としたデジタル化の黎明期に続き、生産としての印刷のデジタル化が始まったのは19...
  4. 2024年より、PODiの新たな理事として兵藤伊織氏に就任いただきました。
  5. イセトーのランサムウェア攻撃被害。
  6. 折からの円安基調も加わって、海外からの訪問客が激増している。
  7. 8年ぶりのリアル展示会となった印刷業界最大のイベントdrupa2024が、5月28日~6月7日までの...
  8. 全世界の印刷、パッケージ関係者が会うと、大抵こんな話になる: 「今まで何回drupaに参加しまし...