前回はdrupa2012でインピカのインクジェット機のシリーズ とXeroxによる買収をレポートした。 それ以来XeroxはImpikaの組織を統合して、その商品シリーズをXeroxの商品ポートフォリオに組み込まれ、今ではXeroxブランドの一部となった。
この発表では、買収後の実質的な共同開発機として初の商品となった。Xerox® Rialto™ 900 インクジェット印刷機は我々が今まで見てきた他のプロダクションインクジェット機とは大きく異なっている。 ロールトゥカット紙であり、より重要なこととして非常に小さい設置面積で設計されている。 Xeroxはこの商品を、購入しやすい、使いやすい商品としてカット紙のトナー機のようなターゲットを設定している。 開発の初期段階のものはdrupa2012でGenesisとしてコンセプト展示されていた。しかしながらこのリリースのバージョンはいくつかのXerox―Impikaの共同開発の効果が出ている。出力スピード、新しいフロントエンド・コントローラー、Xeroxカラー(もう緑と黒ではない)、他である。
Rialto 900 の搬送機 ‘そのもの’がユニークだ
輪転機の出口にシーターを装着するのは、何も新しい考えではない。しかし全てを一体化して提供するのは新しいアイデアだ。
ベースマシンの寸法は11’9”L x 5’1”D x 5’3”H (長さ3580 mm x 奥行1550 mm x 高さ1600 mm)である。 ベースマシンには、アンワインダー、ウェブクリーナー、四方断裁のスリッター/カッター、トップトレイと大量スタッカーが含まれている。 Xeroxの従来のカラー機が大量スタッカーをつけるだけでこの長さを超えてしまっていたことを考えると、極めて印象的である。これを実現したひとつの方法が下の図にある方式でターンバーを使わないことによっている。
Rialto 900はシングルパスの両面機であって、最速で一分間に48m、A4に換算すると160枚の両面印刷が可能な輪転機である。印刷幅は220mm、紙幅は250mmである。60~160gsmの紙に印刷が可能で、径100cmまでのロール紙を利用することができる。
紙のパスが短いため、紙を整えるチラーローラーを内蔵しており、ドライヤーの効率も高い。シートを乾燥するためにペルティエ式赤外線ドライヤーを使用している。ペルティエ効果とは、電流によって熱が二種類の素材の間を移動することである。 加熱、冷却ともにエネルギー消費を抑えてコストを下げている。 サーモ・エレクトロ・クーラー、略してTECと呼ばれることもある。
Rialtoは拡張可能なプラットフォームとして設計されている。 商品導入時には上記のベース機のみが上市されるが、その他の連結用の後加工機はこれから導入されていく。 推奨の月間印刷枚数はA4換算で150~500万枚である。
Rialto 900 画像
画像は市場で実証済のImpika iEngine技術をベースにしている。 ドロップオンデマンド、ピエゾ式の京セラ製インクジェットプリントヘッドKJ4B 、解像度は600 dpiで水性顔料を使用している。 解像度は600×600 x 2ビットでXeroxのAutomated IQ 最適化技術によって4段階のグレイを3種の液的サイズ4、7、11ピコリットルで実現している。Xeroxによれば、Xeroxのインクジェットに最適化されたスクリーニングによって、1000 x 1000 dpi相当の画質を実現しているという。 これによってスムースなグラデーションと発色、シャープな文字と線が実現している。2つのプリントエンジンに8個ずつのヘッドを搭載している。
4色 (CMYK)を顔料インクで印刷できる。 必要に応じて墨のみの印刷も可能であり、その場合はコスト的に有利となる。 Xeroxのインクジェットの消耗品の価格モデルは、メンテナンス、カラークリック、モノクロクリック、インクコストの計で形成される。 多くのインクジェット機メーカーがこのタイプの価格モデルに移行している。 顧客が慣れ親しんだデジタルトナー、インク機の価格モデルとは異なるが、オフセットで使われたモデルにより近く、出力そのものに依存する。Rialtoは、トランザクション、トランスプロモ、DM、そして書籍印刷をターゲットとしている。
インラインの検査カメラを内蔵しており、リアルタイムのプリントヘッドの最適化を、抜けたヘッドの特定と両面の見当合わせを行うClear Pixel 技術で実現している。 全てのXerox Impika機に当てはまるが、パージ、ワイプ、そして非利用時のキャップは、自動ヘッドクリーニングシステムで行っている。
インクは水性のナノサイズの粒径を通常の粒径と併用したHD(高濃度)顔料を使用している。これによって顔料の量が増加し、結果としてカラーの濃度が上がり、コントラストが高くなっている。 非コート紙、無トリートメント紙、インクジェット用紙、インクジェットマットコート紙等を幅広く印刷可能としている。 多くのメディアがテストされており、さらに追加でテストを行い、テスト完了したメディアのリストは米国と欧州の市場で利用可能となる。
フロントエンド
新しく設計されたXerox Impikaコントローラーは、顧客の要望によって2種類から選ぶことができる。 DMや商業印刷を一義的なターゲットとする場合はXerox Impika PDF コントローラーを選択する。 これはAPPE (Adobe PDF Print Engine) 3.3を使用しており、PDF 1.7、 PDF/X 1a、3、4、そしてPDF V/Tをサポートしている。
IPDSが必要な場合は、Xerox Impika IPDSコントローラーがAFPコンソーシアム(IS/3)のフォーマットに準拠しており、こちらが必要となる。 PDFをエンキャプソレート(包含)オプションがあり、解像度は複数サポートしている。APPEがオプション設定されており、追加することにより前述のPDFのフルサポートも可能である。
この機械は24インチのタブレット型のインターラクティブなタッチスクリーンで操作するのはdrupaで見せていたその他のImpika機とほぼ同じである。
Xerox Impika Evolution向け画質向上オプションも発表
Hunkelerで発表された印刷機に加えて、XeroxはRialto 900専用ではないが、インクジェット機の最高峰である全てのXerox Impika Evolutionシリーズに、VHQ (Very High Quality) 画像オプションを発表した。 標準のグレイスケールのモードにおいて、1つのノズルが3つ液的を射出するのに対して、VHQモードは、2つの違うノズルが2種類の異なったサイズの液的を射出する。 このモードによっていくつかの問題が解決する。 最初に、もしノズルが死んでも、白抜けの線ではなく、濃度の薄い線になる。次に同じスポットに2つの異なったノズルから着弾するので、見当精度が向上する。機械の加速時、減速時においても見当精度は向上する。 VHQは既存機にも対応し、課金はワンタイムである。新品にはオプションとなる。
結論
XeroxはRialto 900をインクジェットの壁の向こうの印刷会社が参入できるような価格設定を行った。彼らの言葉によると、オフセットやデジタルインク/トナーからプロダクションインクジェットへの“橋を渡ったことがない” 、なぜならRialtoとはイタリアの橋を渡った先の島の名前だから。 基本の価格は$600-700 Kの間となるが、コンフィグレーションによってはより高くなる。他のプロダクションインクジェットが多くそうであるように、プリントコストはカットシートのトナー機と比較すれば圧倒的に安い。 実際のコストはインクの消費量による。
この商品によって既存機のクリック収入とXeroxのデジタルトナー機の売上にマイナスのインパクトがありうるので、これは市場の現実を受け止め、技術的な強みを生かす大胆な動きであろう。またこれによってXerox Impikaの商品ポートフォリオは素晴らしく強化される。Xerox Rialto、Xerox Impika Compact、Xerox Impika Reference、とXerox Impika eVolutionインクジェット機となった。 Xeroxをプロダクションインクジェットのベンダーから除外していたのはそんなに昔ではない。現在では市場で最も幅広いポートフォリオを誇るようになったのだ。
General availability of the Rialto 900は米国と欧州の市場に対して、2015年夏より受注を開始し、8月9月から設置が始まる。その他の市場はそれに続く。
Hunkeler Innovation Daysでの次世代のプロダクションインクジェットの新製品は、決して少なくない。 次の記事では新しいCanon Océ VarioPrint i300 枚葉プロダクションインクジェット機とCanon Océ ImageStream 3500輪転機、さらには続けて他のメーカーの商品も報告する。これらの新しい商品の、さらに深いレビューをお見逃しなく。
By | David Zwang |
Published | 2015年2月24日 |
原文 | http://whattheythink.com/articles/72513-xerox-rialto-900-inkjet-press/ |