マーケティング・アトリビューション分析:印刷向けに展開 (WhatTheyThink?)

マーケティング・アトリビューション分析とは、どのチャネル(媒体)が顧客に望ましい行動(アクション)を起こさせたかを測定し、そのチャネルに相応しい評価を与える、という考え方である。印刷はマーケティングのチャネルミックス(複数媒体の組み合わせ)において、重要な位置を占める。この文章では、チャネルミックスにおける印刷の価値に関するInfoTrends社の最新の調査にハイライトを当てる。

複数のマーケティングチャネルを利用する効果を理解する事は、日増しにその重要性をましており、それによって“マーケティング・アトリビューション分析”に脚光を浴びる事となる。 それは顧客に狙った行動を喚起させた、あらゆるオンライン、オフラインのチャネルによる顧客接点それぞれに対して適宜ポイントを付与する、最新の分析と指標を用いた科学である。それは“ポイントが発生した時点で、直ちに付与”するようになっている。アトリビューション分析によって、ブランド企業は特定のマーケティング活動とメディアチャネルの価値をより正確に把握し、ビジネスへの影響を計測することができる。

デジタル革命はマーケティングの様相を一変させ、正確なアトリビューション分析は非常に複雑になった。そうはいっても、マーケティングが、どのように、いつ、どこで顧客に影響を及ぼしたのかをすべての機器とチャネルにまたがって計測し、正確な洞察を行うマーケティング・アトリビューション分析が重要なのは変わらない。 マーケティング部門はデータを用いて、予算管理やマーケティング・ミックスの最適化を改善することができる。マーケティング部門は、より少ない予算でより多く、そしてイン、オフラインともにどのチャネルが最も効率よく稼働し、予算の配分をしやすくするのかを理解することを常に求められているのだ。

InfoTrends社が二つの大規模なレポートを完成させた:ミクロからメガへ:ビジネスコミュニケーションのトレンド、 及びダイレクトマーケティングプロダクションプリンティングと付加価値サービス、である。 両レポートとも、印刷によるコミュニケーションの影響と、売上を産み出すチャネルとしての印刷の役割について、深い洞察を与えてくれる。


ミクロからメガへ:

ビジネスコミュニケーションのトレンドは800以上の大規模企業(従業員500名以上)がどのようにマーケティング費用を各コミュニケーションのチャネルに配分しているのかを評価した。 企業の経営者達は、印刷は現在、そしてこれからも継続して重要なコミュニケーションのチャネルであることを示した。回答者は、オンラインとモバイルは今後2年間で最大の成長を示すとしながらも、印刷によるコミュニケーションは全体の25%以上を占める結果となった。

マーケティングの経営者は、印刷は、新規顧客獲得、商品及びサービスの販売、ブランド構築、顧客ロイヤリティー育成、イベント告知とプロモーションに非常に効果があると回答している。

同じ集団にチャネル別の効果について質問している。新規及び既存の顧客に対する各チャネルとチャネルの組み合わせによるレスポンスの平均値を質問した。 “印刷のみ”のキャンペーンの平均レスポンス率も高いが、もっとも高いのは、複数のチャネルを混合させたものであった。

もうひとつの重要な質問は、顧客獲得及び引き留めキャンペーンにおけるチャネル別のアクション(行動)率についてである。回答者は“印刷のみ”でも行動を喚起することは可能であるが、各種のチャネルに渡ってメッセージを強化する方がアクション率が高い、としている。

もう一つのレポート:ダイレクトマーケティングプロダクションプリンティングと付加価値サービスはマーケティング全体における印刷の価値を測定することに特化している。900人の米国の消費者の、68.6%が過去3カ月にダイレクトメールに対してレスポンスしている。


ダイレクトメールに対して反応したと答えた人に具体的な行動を質問した:

  • 55.6%がダイレクトメールを見て店舗を訪問
  • 56.4%がホームページを閲覧
  • 45%がダイレクトメールに影響を受けて購入
  • 19.8%が何らかを返信(申込、等)
  • 16.7%がバーコードをスマホで読み取ってWebにアクセス
  • 15.4%が電話をかけた

複数回答が可能であったが、消費者からのメッセージは、これらのアクションはダイレクトメールによるものであることを示している。


印刷会社の役割は?

見込み客と顧客を説得し、ブランドと結び付けるマーケティングを造り出すには数多い要素を必要とする。正しい対象をターゲットとし、信用を構築し、価値あるメッセージを造り、巧みにそれらを伝え、それらを広げて行き、もっとも重要なことに計測可能な結果を産み出さねばならない。

マーケティングは、結果に基づいて持続的に進化する専門分野となった。過去に成功した戦略、戦術は引き続き重要であるが、それらだけでは十分ではない。計測可能な結果をもたらさなければならないマーケット部門は、各種メディアを駆使した新しい方法を取り入れ、それらの効果を測定し続けなければならない。

前向きな印刷会社/マーケティングサービス提供社は、顧客とともに、マーケティングにおけるあらゆる顧客接点をデジタル、オフラインともに計測し、ビジネスの結果に結びつけねばならない。InfoTrendの調査は、印刷がマーケティングにおいて重要な位置を占めていることを示した。 “ポイントが発生した時点で即時に付与”するためには、印刷会社は仕組みの構築を始めねばならない。また、ダイレクトマーケティングキャンペーンのレスポンスとアクションを計測するためのデータ分析手法も、身に付けねばならないのだ。

 

 

  

whattheythinkmini
By Barb Pellow
Published 2016年3月10日
原文 http://whattheythink.com/articles/79363-marketing-attribution-building-case-print/

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