ブランドオーナーがパッケージのデジタル化を推し進める2016年(WhatTheyThink?)

パッケージとは商品のコンテナ(入れ物)のデザインと製造にまつわる全てである。それらは商品を包んだ印刷物が、中身を特定し、表現し、守り、見せ、魅せることによって商品を販売し、清潔さを保つ、と言ったことである。また、パッケージはデジタル印刷技術にとって二桁成長を提供する市場でもある。

InfoTrendsの最新の予測によれば、デジタル印刷によるパッケージは2014年から2019年の間の年間平均成長率(CAGR)は、20.7%である。

 

パッケージに用いられるデジタル印刷、あるいはオンデマンド印刷の技術は、商業印刷会社、社内印刷部門、事務所で用いられているものと同じである。パッケージ印刷市場においてはその技術が、パッケージデザインと在庫、サプライチェーンマネージメントを変革させるものと、より強く位置づけられている。それによって、異なったバージョン、可変データ印刷が可能となり、それによって、デザインの短期間での変更、ブランドマネージメント、公的規制への対応が可能となる。これが次世代のデジタル印刷のフロンティアなのだ。

ブランドオーナーがソリューションを必要としている!

2015年にInfoTrendsがデジタルパッケージワークフローの未来という顧客調査を発表した。この調査の中で150以上の印刷会社と150以上の消費者向け商品のブランドオーナーが対象となり、現在の市場においての課題と、デジタル技術に対する見通しを集約した。

多くの印刷会社はデジタル印刷機を設備投資することによって、小ロットジョブのニーズに対応できると考えている。ブランドオーナーが印刷会社に対して、バージョニング、連番ナンバリングの小ロット、バーコード、可変のテキスト等々の他の印刷技術では成し得ないことを印刷会社に要求することが日増しに増えている。デジタル印刷がもたらす潜在的影響力はよく理解されていおり、この市場の成長を無視することはできない。

InfoTrendsのブランドオーナーの調査によれば、目的は明確である。彼らはパッケージ関連の在庫をコスト削減し、廃棄のリスクを減少させたいのである。現在のブランドオーナーは、より正確な原価、容易なカスタマイズ、より的を獲た商品情報、そして変わり続ける法律と諸規制への適合が可能なソリューションを求めているのだ。

 

これらのブランドオーナーは、当然ながらパッケージが販売活動全般に直結していることを理解している。InfoTrendsの調査結果は、より強いカスタム化、パーソナライズ化、そしてバージョニングに向かっていることを示している。幾つかの質問に対しての合意のレベルを問われると、ブランドオーナーが顧客との繋がりを強めるためにパッケージをよりパーソナルに、そしてインタラクティブにしようとしていることが分かる。

 

ブランドオーナーがソリューションを求めていることは疑いがない。デジタル技術とコストを抑えた小ロット対応技術は多くの課題を解決し、数多いクリエイティブなマーケティング機会を生み出すのだ。

テストマーケット用パッケージ

調査、開発、告知に莫大なコストをかける新商品こそが、あらゆる会社の成長戦略の源泉である。新商品の成功は、効率的なパッケージに大きく依存していることが多い。有名なブランドにとって、多くの買い物客はその特定のブランドを求めて買い物棚にやってくる。一義的なパッケージの役割は、人々が知っていて信頼しているブランド/商品の認知である。パッケージは多くの場合、長い開発プロセスの最終工程であるが、長年続けた新商品の開発とコンセプトのテストにおいては、導入のデッドラインへ駆け込む最後の関門である。デジタル印刷技術によって企業は、テストの過程を加速させ、市場への導入期間を短くすることが可能となる。


ターゲット市場あるいはイベント向けにカスタマイズする

マーケティングに携わる人間は、カスタマイズされた印刷を行った商品を製造できることは、数多い販売促進の機会を提供し、かつブランドとイメージが結びつきやすいことを理解している。生産品質と便利さを離れれば、ワインラベルのような物にホテルやレストランの名前や画像、ロイヤリティの高い顧客へ、あるいは特別の機会へのパーソナライズ化できるようになるのだ。 化粧品や石鹸等の類も特定の小売業や特定の場所の名前のブランドを付けることができる。ゴルフボールはトーナメント毎にカスタマイズでき、コレクターのアイテムにもなろう。特定の市場をターゲットにバージョニングされたパッケージや、複数の言語をサポートしていパッケージはブランドオーナーにとって大いに価値があるのだ。

パッケージをインタラクティブにする

ブランドオーナーはパッケージを、エンドユーザーとのインタラクティブな会話とコミュニティ作りに活かそうとし始めている。QRコード、AR(拡張現実)、NFC(近距離通信)をパッケージに用い、ブランド認知を高め、顧客のリアクションを引き出そうとしている。

進むパッケージの革新

高度なマーケティングに従事している人間は、ユニークで革新的なパッケージを新しい市場への参入時に利用している。皆さん覚えているのではないだろうか? 我々が子供の時に発売されたCrayolaの64色のクレヨンの新品を買ってもらったときの嬉しさを!今日では、Crayola My Way(日本語対応)はこの伝統的な市場に対して非常にクリエイティブなアプローチを行っている。ユーザーが完全の自分仕様のボックスを製作することができる。http://www.crayola.com/splash/product/personalizationsplash外箱を写真と名前やメッセージでパーソナライズできるに留まらず、中のクレヨンの色まで選択することができる。

 

消費者向け商品の数社はNFCタグから簡単なスマホのタップを経て、簡単に手に入るクーポンを提供している。買い物客がパッケージのタグにスマホを置いてタップすれば、クーポンがモニターに浮かぶ。顧客は購買の流れをこれで完了し、電子クーポンをレジで提示するばかりである。スマホのNFC機能は、通常ラベルの裏にあるNFCタグのチップを呼び出すのだ。スマホにアプリをインストールする必要が無いため、極めて単純な行為である。パッケージのNFCタグと電子メールやテキストメッセージを適切に組み合わせて、顧客をロイヤリティプログラムに誘導する場合もある。

レミーマルタンはパッケージのNFCタグによって、顧客をそのコニャックに引き付けようとしている。顧客はアプリをダウンロードしなければならないが、結果は素晴らしい。顧客がボトルを開けると、NFCタグが、ボトルが開けられたというシグナルを出す。レミーマルタンはすかさず顧客に、ボトルをタップするように促す特別な特典を提供するのだ。

 

結論

パッケージ業界全体において、デジタル印刷はまだ始まったばかりにすぎないが、ブランドオーナーは消費者に対して商品を差別化するために素早く動くかも知れない。今日の大きく変化する技術によって、サプライヤー、素材メーカー、印刷会社に大きな機会を提供している。 新しい技術、ブランドオーナーのニーズ、サプライチェーンを最適化することによるメリットは、これを成長の機会とし、印刷会社やラベルのコンバーターが無視できるものでは無くなっている。もしあなたがデジタルパッケージに気づいていないのであれば、今がその時である。

 

 

  

whattheythinkmini
By Barb Pellow
Published 2016年2月25日
原文 http://whattheythink.com/articles/79122-brand-owners-are-driving-digital-packaging-2016/

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