5年前のマーケティングサービスというと、ヴァリアブルデータや個人情報が事前に反映されているランディングページへリンクするパーソナルURL(PURL)などが注目されていた。これらは今日でも重要であることは変わりないが、クライアント企業はそれ以上のものを求めている。彼らは、カスタマー・コミュニケーションを手助けてくれる戦略的パートナーを探しているのだ。
まとめ
- InfoTrendsが最近行った調査によると、戦略的計画策定プロセスの様々な機能の中で最も優先度が高かったのが、切れ目なく連続したカスタマー・エクスペリエンス(顧客体験)を提供することだという。
- 印刷会社は、モバイルを含めたクロスチャネル・コミュニケーションのお手伝いをしたいと思っている。
- 企業の経営幹部は、条件が満たされれば、サービスをサードパーティのパートナーにアウトソーシングしてもよいと考えている。
- InfoTrendsの調査によると、回答者の76%は印刷会社がクロスチャネル・コミュニケーション・サービスを提供することについて理にかなっているという。
はじめに
戦略的カスタマー・コミュニケーションとなると多くの印刷会社にとってはまったく未知の世界と思えるかもしれない。だが、今日の印刷市場がなぜ飽和状態になっているのか、そのからくりを理解している印刷会社にとっては、またとない成長と収益のチャンスとなっているのだ。企業は、自らのビジネスモデルを再考し、その製品やサービスの購入者との、より効果のあるコミュニケーションに力を注ごうとしている。印刷会社が競争に勝ち続けるには、クライアント企業のコミュニケーションを手助けする製品とサービスへとポートフォリオを変えていかなくてはならない。
力を注ぐところが変わりつつある
5年前マーケティングサービスといえば、ヴァリアブルデータや個人情報が事前に反映されているランディングページへリンクするパーソナライズURL(PURL)などが注目を集めた。これらは今日でも重要であることは変わりないが、クライアント企業はそれ以上のものを求めている。彼らはカスタマー・コミュニケーションを手助けてくれる戦略的パートナーを探しているのだ。 2016年7月に、InfoTrendsは、「ドキュメントアウトソーシングサービスの拡大」と題した調査レポートを発表した。同レポートは、米国およびカナダと大手企業の幹部250名を対象にアンケート調査したもの。戦略的計画を策定するときの優先事項について聞いたところ、切れ目なく連続したカスタマー・エクスペリエンス(顧客体験)が最上位となった。91%近くが全てのコミュニケーションチャネルで切れ目なく連続したカスタマー・エクスペリエンスを提供することが重要、又は、とても重要と回答。特にスマホの利用が拡大しているため、モバイルにおける経験(エクスペリエンス)に注目が集まっている。回答者の80%が、モバイル・コミュニケーション戦略が重要、又は、とても重要と答えた。
今日のカスタマー・エクスペリエンスは、まずデータを起点としなればならない。調査によると、回答者の82%がデータの予想分析を改善することが優先課題であると言っている。消費者が次に何を買うかの行動を把握するための重要な戦略となるからだ。もうひとつ重要なことは、マーケティングに使う資材のサプライチェーンを効率的に管理すること。ネットツールで受発注や在庫管理することが重要視されている。最後にコミュニケーションはパーソナルでないといけない。回答者の3/4以上が、パーソナライズされた印刷コミュニケーションを配信することが、重要、又は、とても重要と答えている。
印刷会社は規模の大小関わらず、クライアント企業の優先事項に連動せざるを得ない。クライアント企業が、モバイルを含めたクロスチャネル・コミュニケーションをどうやって顧客に提供するか、その対応の手助けを求めていることは明らかである。ただ、実際はお客様の新たなニーズを満たす能力を持ち合わせていないことが多い。データマイニングや分析、ネットでのサプライチェーン管理、チャネルに依存しないパーソナライズメッセージなどは、2016年以降、印刷会社が提供するべきカスタマー・コミュニケーション向けのサービス内容のポートフォリオである。
パートナーを探し出すことが重要!
InforTrendsの調査から得られる最も重要なメッセージは、大手企業の経営者は、条件が揃えば、サードパーティーのパートナーにサービスをアウトソーシングしてもよいと考えていることだ。印刷会社自身が適切な投資を行えば、クライアント企業のパートナーとして選ばれる可能性がでてくる。それでは、どこに投資すべきだろうか。企業にどのサービスを外部のプロバイダーにアウトソースしたいかと聞いたところ、データ分析が最上位にきた。
調査した企業の経営者からの回答の内容は以下の通り。
- 「ビッグデータの分析、パーソナライズされたターゲティングの改善、競争優位になるためのサービスなどを我々は必要としている」 カナダ医療関連会社IT部門副社長
- 「直接顧客にアピールするなにかを探す手助けをしてほしい。また、マーケティングの視点で顧客のニーズの情報を提供するシステムがほしい」 カナダ通信会社マーケティングマネージャー
- 「最適なアプローチを見つけるための、より良い顧客データの分析を提供してくれるアウトソーシングパートナーを必要とする」 米国銀行・金融サービス副社長
- 「我々が収集する顧客データが増えるとともに変化するニーズに対応できるパートナーと組みたい」 米国銀行・金融サービスマーケティングマネージャ
InfoTrends調査の回答者の76%は、印刷会社がクロスチャネル・コミュニケーションを提供する事に対して意義があるか、ということについて同意、又は、強く同意している。
今日の印刷会社へのポイント
クライアント企業は、彼らの顧客ベースに対して効果的なコミュニケーションを行うために、データ、クロスチャネル・コミュニケーション、そして、適切な人に適切なメッセージと伝えるためのターゲティング機能など、サービスメニューを増やせざるを得なくなっている。印刷会社が長期的に成功するための鍵は、提供する製品やサービスのポートフォリオを入れ替えることだろう。クライアント企業が変わるからには、印刷会社も変わらなければならない。
By | Barb Pellow |
Published | 2016年9月1日 |
原文 | http://whattheythink.com/articles/82037-strategic-customer-communications-partner/ |
翻訳協力: | Mitchell Shinozaki |