drupa 2016: パッケージツアー (Part 2)

ラベル・パッケージの印刷ビジネスは、たじろがんばかりのスピードで変化している。drupaで元気づけられたのは、新しいラベル・パッケージの生産の技術によって、印刷会社が必須となる能力を手に入れることができるという事実であった。

ラベル印刷デモ

ザイコンブースでのラベル印刷デモ


drupa2016においては多くの事がラベル・パッケージについて語られたが、最も思慮深く現実的であったのはRalf Sammeck氏が2日目のKBAのプレスコンフェレンスで語った内容であろう。

KBAの枚葉機部門のCEOであるSammeck氏は、最適なパッケージ印刷の選択に、オフセットとデジタルの雑な区分は必要ではない、と語った。どちらのプロセスが安くあがるか、よりも遥かに緊急を要する事は、印刷ビジネス用のInternet of ThingsとIndustry4.0を包含したモデルの中に両者をまとめる事だ。Sammeck氏曰く、これを理解している印刷会社は、小ロットジョブの管理、付加価値の販売、顧客が変化する市場ニーズへの適合する、といったことに集中している、という。

確かにdrupaには氏が言うような生産を実現するようなソリューションが数多く見られた。

この2部構成で展示会のラベル・パッケージの俯瞰を行うレポートは、引き続きアルファベット順でMesse Düsseldorfの会場に持ち込まれた物の紹介を続けて行く。

Koenig & Bauer Group (KBA) は既にパッケージ市場に大きく根を張っているが、さらに成長させることを望んでいる。At drupaにおいて、KBAのClaus Bolza-Schünemann社長は、同社の売上の70%がパッケージ関連の機器で占め、主力機であるRapida枚葉オフセット印刷機の60%は、紙器印刷会社が購入していると語る。ここにも成長余力はあるが、さらに同社がHall16の3,000sq平米のブースで展示したものは、紙器、軟包装、段ボール市場でさらなる成長をもたらすものであった。

KBAは、オフセット、フレキソ、そしてデジタル機器を展示し、デジタルはインクジェットのリーディングサプライヤーとのパートナーシップによるものだ。 KBAの最新のパートナーであるXeroxと共にパッケージ印刷機KBA VariJet 106をコンセプト展示、発売は翌年と発表した。

小ロットの紙器生産をターゲットとしたVariJet 106は、XeroxのImpikaのインクジェット技術が、KBAの枚葉印刷機に搭載されている。7色機で、時間当たり4,500枚の B1 (29.5″ x 41.7″)が印刷可能である。モジュラー構造をとることによって、VariJet 106はハイブリッドが可能で、オフセット、オパークホワイトインク、コールドフォイリング、コーティング、スクリーン印刷、ロータリーダイカッター、筋押し、ミシン等を組み合わせる事ができる。

VariJet 106はKBAがジョイントで作る三代目のインクジェット機である。HPとは、HP PageWide Press T1100S、段ボールのトップライナー用110″幅インクジェット輪転機の市場導入に向けて協業している。RotaJetインクジェット連続紙プラットフォームのVLシリーズは、R.R. Donnelleyとの共同開発で、パッケージその他の産業印刷向けに利用可能な最大2.25 meters (88.5″)幅の機械である。

KBAブースにあったRapida枚葉機4台のうち2台は、ラベル・パッケージ仕様で、5色機、B2 (20.8″ x 29.5″)対応のRapida 75と、6色機、B0 (41.7″ x 57.0″)対応のRapida 145である。 KBAによれば、Rapida 145はダブルパイルデリバリー他の高速パッケージプロダクション機器を搭載しており、展示会において最大、最速の印刷機であったという。 Rapidaプラットフォームは新しいラベル・パッケージ向けロータリーダイカッター、Rapida RDC 106をdrupa 2016で初めて披露している。

KBAはそのFlexotecnica部門の軟包装フィルムと他のパッケージ素材向けの連帳機を展示して存在を示した。KBAはこの機械を、溶剤系または水系のインクを、UV-LEDまたはEBで乾燥させる最初のハイブリッドフレキソとして、設計した。最大12色を最大幅64.9インチで最速1,640fpmで印刷が可能である。

KBAはまた枚葉の段ボール市場に、“回帰”しようとしている。10年前に発表されたCorrugraphフレキソプレスの改良型を計画している。新しいCorrugraphプレスはロータリーダイカッターを組み込み、最大シートサイズ59.8″ x 133.8″で最速で毎時12,000枚の印刷が可能だ。

数あるプレスコンフェレンスにおける質問の中でも、もっとも多かったのが、誰がKodakのProsperエンタープライズインクジェット部門を買収するか、ということであった。同社はその売却を3月に発表して以来、ジャーナリスト達の間での推論は強烈であった。しかしながらProsperの不確実な運命ですら、このシステムの売上を妨げる事はなかった:Kodakは少なくとも6台のProsperをショー期間中に販売したと発表した。

Prosperはパッケージ市場でも確立されている。昨年のProsperヘッドの売上の70%がパッケージ市場であった。それはKodakのみの販売ではなく、例えばBobstが枚葉の段ボール印刷機に搭載して販売しており、また紙器向け、軟包装向けに連続紙対応機のベータテストを行っていると報じられた。

Prosperの心臓部はKodakのStreamインクジェット技術で、最新のStremがUltrastream技術である。コンティニュアス型のインクジェットヘッドで解像度が600 dpi x 1,800 dpiで最速500 fpmで印刷が可能だ。drupaにおいてKodakはUltrastream技術を8″のヘッドをナローウェブのラベル機に搭載した。 Ultrastreamはパッケージ、その他のアプリケーション用に97″幅まで対応することが出来る。

KodakはパッケージのプリプレスにもフレキソのプレートであるFlexcelシリーズで健闘している。新しく導入されたFlexcel NX System ’16は、Kodakのいう先進のプレートの表面パターンを使用している。NXタグによって複数のパターンがプレート上に描くことができ、オブジェクトのエッジのインクフローを制御するAdvanced Edge Definitionという機能を搭載した。これらの機能によって、幅広いウェブの軟包装、ナローなウエブのラベル、板紙でも、インクを効率よく使い、クリーンなイメージを印刷することができるという。

さらにパッケージ市場を狙った展示が、KodakのExtended Gamut + Varnish (XGV) 技術であり、CMYKに加えてオレンジ、グリーン、バイオレットと水系のニスが軟包装のナローウェブに並んでいる。デモには環境に優しい、規制に適合した水系のインクが使用され、XGVが食品パッケージに適していることを示していた。ソフトウェアではスクリーニング、プリフライド、カラーマネジメントとヤレ削減をアップグレードしたパッケージ向けのワークフローを発表した。

The definition of “産業用印刷=インダストリアルプリンティング”という言葉の定義はなかなかに難しいが、Konica Minoltaにとっては、それはパッケージとラベルを指し、そこでのリーディングプレーヤーを目指している。それを自社商品とKonica Minolta が現在40.5%を保有しているデジタル印刷と後加工機メーカーであるMGIの商品で達成しようとしている。

Konica MinoltaはHall8Bの2,400sqmのブースの一部をパーソナライズされたパッケージとラベルに割いた。そこでは来客は、bizhub PRESS C1100がパッケージを印刷し、断裁、折り、糊がインラインで行われているのを、あるいはbizhub PRESS C71cfラベル印刷機がMGIのシステムと連結されてスポットニス、エンボス、ホットフォイル、そしてGrafisk Maskinfabrik (GM)にユニットがコンバート/フィニッシュするのを見る事ができた。

Konica Minoltaはdrupa 2012でKomoriと共同開発したプロトタイプのKM-1、B2 (20.8″ x 29.5″)枚葉機でインクジェット市場に参入した。現在ではそのインクジェットシリーズはAccurioというブランドで呼ばれ、二機種がパッケージ対応を行っている。

drupaで 紹介されたB2+ (23″ x 29.5) AccurioJet KM-1は、1,200 x 1,200 dpiの解像度のUVインクでパッケージ、その他の用紙を最大毎時3,000枚(片面)印刷が可能である。 技術展示されたのはAccurio KM-C、 B1 (29.9″ x 41.7″)印刷機で紙器、段ボール市場をターゲットにしている。 Konica Minoltaによって開発されたAccurio KM-Cは、板紙とマイクロフルートを最速で時間2,200枚印刷が可能であるという。

Landa

Landaの特殊効果ショーのシーン


アメリカからはQuad/GraphicsとImagine!、欧州からは、Cimpress、colordruck BaiersbronnとElanders。Landa Digital Printing は、drupa 2016においてこれらの顧客から€455 million (約511億円)相当のNanographic印刷機の注文を受けたと発表した。 Landaによれば、世界の全ての主要地域から複数の注文を受けたという。入念なステージショーと、イベントが始まってから終わるまでノンストップで行われたセールスミーティングが、鳴り物入りで囃したてる。

ナノグラフィーの詳細、いかにLandaが二世代に渡るデジタル印刷技術を構築できたのか、等々は広くメディアで語られている。あらゆる印刷技術の中で印刷コストが最も低いという点に関しては、オフセット印刷のジョブの数が最も多い生産ロット帯において、この技術は競争的なコストである、としている。The presses seen at drupa 2016で見られた印刷機は、Landaがdrupa 2012で発表したものの改良版である。

Two of the current crop are for packaging printing. そのうちの二機種がパッケージ印刷向けである。Landa S10 Nanographic印刷機は片面B1 (29.5″ x 41.3″) 枚葉印刷機で板紙、他のメディアの厚みが32 ptまでを毎時13,000枚の印刷を行う。 Flexible packaging is the target application for the 軟包装をターゲットとしたLanda W10 Nanographic印刷機は片面41.3″幅のウェブに4~8色の印刷が200 m/min で可能である。

これらの機械はベータテストの後、来年に出荷される。これらの機械の両面印刷用のものがパッケージ以外の目的に供給される。Landa 10SPとダブルエンジンのLanda W10Pである。 (後者はdrupaで発表). Landaはメタリックなハイライトをヤレなく、従来のフォイールと比較して半分のコストで箔がおせるNano-Metallographyも発表した。

MBO Stamina

MBO Stamina 紙器後加工向けオールインワン生産ライン


商品の名付けが難しいのは、MBOの商品が、後加工工程における特定の目的のために常に他の機械と連結されるからであろう。従ってその生産ラインは機能名で呼ばれることが多く、必ずしも商品名で呼ばれない。システムが行うことは上流の機械が行う機能や名前で呼ばれるのだ。

MBOは12種の生産ラインをdrupaで展示し、そのうちのひとつ、紙器専用の後加工ラインには独自の名前:Staminaと呼んだ。この紙器生産のプロセスをロータリーダイカッターに統合したシステムは、MBOが紙器生産市場に足を伸ばした意思決定を表している。さらに、人手を極力するなくするためのワンパスオペレーションとモジュラー構造による組み合わせが技術戦略であることを指し示している。

Manufactured by MBOの子会社であるHerzog+Heymannが製造し、Staminaはカスタマイズが可能な一連のシリーズで、薬品、その他の紙器を、印刷されたロール紙、またはカット紙から生産することができる。機能としては、ダイカッティング、ストリッピングとマトリクスでのむしり、見当合わせ、折り、ホットまたはコールドの糊が全て1つの流れで可能である。内臓のカメラシステムによって、印刷された同梱物(添付文書等)と箱との整合性を取っている。

Scodix

Scodixデジタル加飾機(上左)と出力サンプル


そのプロセスを“デジタル加飾”と呼び、Scodixは蝕知できるメタリック効果によってパッケージやその他の印刷物を贅沢に見せるスペシャリティの印刷機シリーズを展示した。drupa 2012において最初の機械を発表して以来、世界に200台の機械を設置している。

Scodix は新規導入のB1 の機種を含めた5機種をdrupa 2016において展示し、それ以上の受注があったという。Scodix曰く、これらのデジタルプラットフォームで、印刷会社はアナログ工程に必要なツールとセットアップに時間とコストを掛けることなく、中小ロットの付加価値の高いファンシーなタッチを実現することが出来ている。複数の効果を1台の高速な機械に集約することにより、多機能でコスト効果の高くすることができる。

もっとも機能が多いのは最新のE 106で、 41.7″ x 29.9″ の版形で最速で毎時4,000シートの印刷ができる。このインクジェットヘッドで、インラインの箔押しができ、Mabeg GmbHの搬送機によって、E 106はあらゆるScodixの特殊効果(含む点字とバリアブルフィニッシング)を1台で実現する。

Scodixの他の機械を見てみるとB3+ (14″ x 20″)のS52、B2+ (20.8″ x 29.5″)のS75、 とB2+ (21.5″ x 31″ )のUltraとUltra Proがある。drupaでは、アメリカの印刷会社、 Dreamworks Graphic Communications LLCがシカゴ近辺では最初のインラインの箔押しを連結したScodix Ultra Proの所有者になると発表した。

カラーでのバリアブルデータのデジタル印刷のパイオニアの一角であるXeikonは、数々のオーナーの変更をついに6カ月前のFlint Groupによる買収でけりをつけた。インク、コーティング、新聞用薬品、その他の資材の大手である。 Flint Groupデジタルプリンティングソリューションと呼ばれる部門で、Xeikonはそのブランド名のまま商品の開発と販売を継続する。

XeikonとFlintがdrupaで展開した商品にはラベル・パッケージ向け商品も含まれる: トナーの革新; 高速デジタル印刷機;紙器向けダイカッター; Xeikonが目指すところの“パッケージと加飾の共演”を実現する技術展示があった。

新しいトナーはTonnikと名付けられ、Xeikonがdrupa 2012で発表した液体トナー技術のTrilliumから生まれた。Tonnikはdrupa 2016で登場した19.7″インチ幅のウェブで200 fpmのTrillium Oneに搭載される。これはMiyakoshiとの共同開発機である。 Xeikon曰く、粉体トナーと液体トナーの 最適の特性を組み合わせることにより、 Tonnikは、最も持続性が高く、環境に優しく、経済的なデジタル印刷のトナーであり、ラベル、パッケージにも最適となった。

ラベルの高速機でかつてはチーターCheetahと呼ばれたXeikon CX3もdrupaで見られ、5色で98 fpmでラベルを印刷していた。 紙器印刷には主に粉体トナーのXeikon 3500が用いられ、その可変のウェブ幅(9.8″ to 20.3″)で最速63 fpmで印刷を行い、 UVコーティング、水性ニス、スタッキングのユニットと連結されていた。後加工機であるXeikon FDUは、毎時2,000枚のフラットベッドのダイカッターで、紙、板紙、マイクロフルート段ボールを最大20.9″ x 39.4″のサイズまで処理ができる。

これまでは、Xeikon Fusion Technologyのラベル・パッケージ向けはコンセプト段階にとどまってきた。 drupaでの説明では、Fusionテクノロジーは粉体トナー、5色機のXeikon本体と連結可能なモジュラー構造機のシリーズで、本体と相まってワンパスの印刷と加飾を実現するものである。スペシャリティーにはホット、コールドのフォイール、スクリーン印刷のオペークホワイト、触知のニス、スポット印刷、点字がある。これら全てはXeikonのデジタルフロントエンドで制御され、モジュールの設置もオペレーターを妨げることなく自動で行われる。

XeroxがKBAのVariJet 106パッケージ印刷機に提供したヘッドの外観


Xerox のパッケージに関するトップニュースは、KBA VariJet 106の共同開発であろう。同機はKBAの年末のドイツでのオープンハウスに出展される。 drupaで見る事が出来たのは、同機に搭載されたXerox Impika インクジェットヘッドであった。印刷幅を 42.3″に広げ、その64,000のノズルから2.5-picoliterの水系インクの液滴を射出し、解像度は1,400 x 1,400 dpiである。 ピエゾドロップオンデマンドのヘッドはフルバリアブル印刷が可能である。

他のラベル・パッケージ向け商品には、Xerox iGen 5 Pressの二つの改良があった:5胴目にクリアトナーと、FDA準拠のブルー、グリーンとオレンジでガマットを拡大する着色剤を開発した。Xerox 曰く、新規のDirect to Object Inkjet Printer(オブジェクトに直接インクジェット印刷を行う)によって、商品情報を直接3次元のオブジェクトに印刷することによりラベルを代替する、という。オブジェクトのサイズは最大フットボールのヘルメットと靴程度という。

さらにXeroxブースには、プラスティックの素材にUVインクジェットで印刷する機械があった。この機械は、Xerox CiPress ロール紙インクジェット機で、20″の印刷幅とCMYKに加えてUVコーティングが5胴目として追加されている。解像度は600 x 600 dpiで印刷速度は100 fpmである。

この機械のアプリケーションは熱成形パッケージであって、それは軟らかく伸びて、かつ熱に強いインクで直接印刷ができるからである。この機械で印刷されたフィルムがブリスターパックに加工されても、インクは割れもゆがみもしない。Xerox曰く、フィルムへの直接印刷によって、スティッカー貼りや熱成形パッケージへの差し込みは必要なくなる、という。パウチ、バッグ、シュリンクフィルム等の生産がこの機械のターゲット候補である。

 

 

  

whattheythinkmini
By Patrick Henry
Published 2016年6月21日
原文 http://whattheythink.com/articles/81129-drupa-2016-package-tour-part-2/

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